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スク
グッモーニン、マイライフ







射し込む朝日。

小鳥の囀り。


穏やかな朝に目を開けて、ぐーんと伸びをする。


さあ今日も爽やかな朝が迎えられ……………







ん?







なんか体がスースーする。
ゆっくり視線を落とすと衣服を一切 纏っていない自分の身体。



「………………。」


自分でも血の気が引いていくのが分かった。


そして恐る恐る横を見れば、まだスヤスヤと眠る、(シーツ被ってるから分かんないけど多分、裸の)スクアーロ。






「…………うそーん。」


え?これ…ちょ、ないないないない。
落ち着け、あたし。落ち着け!

まさか、まさかヤッちまったのか?
いや、でもあたしにそんな記憶はない。


昨日は普通に任務終わらせて、お酒飲みたかったからボンゴレ下のバーに行って、マスターに愚痴を聞いてもらって…………、あれ?
その後あたしどうした?
どうやってここまで…ていうか誰と!?いや、この状況でスクアーロ以外ないんでしょうけども!



酔った勢いとかベタなパターン?ベタなパターンなのか?

いや、待て!さすがにスクアーロはそんな勢いでヤッちゃうタイプじゃないでしょ。へたれだし。

でも、そうなら何故 服を着ていない?


ああああああ〜………
名前、一生の不覚。

公私混同はあたし自身、最大のタブーにしてきた。
だから、まさか同僚と寝ちゃうなんて……ありえない。







チラ、とスクアーロを見やる。
よし、まだ起きる様子はない。

このまま何事もなかったように出ていけば何とかなるんじゃない!?
あたしが覚えてないんだからスクアーロだって……。



よし!と意気込んだあたしはそっとベットから下りて、散らばった下着と服を身につける。


そして抜き足さし足忍び足で扉に向かう。








「そりゃねぇんじゃねぇかぁ?」






ビクッと肩が跳ね上がる。
声の主が誰かなんて分かりきっているからこそ固まってしまう。

ヤバイ。

そう思いながらも、恐る恐る振り返った。



そこには機嫌が悪そうなスクアーロ。
あたしを睨んでいるのは言うまでもない。




「……スクアーロ……。」

もう腹を決めなければ。
一夜限りの関係だ。誰にも言わなければ誰にもばれない。


そう、本当はスクアーロと一夜限りだなんていう関係なんかになりたくなかったあたしの気持ちは誰にも、ばれない。





「ご、ごめんね!こんなことになっちゃって…お互い忘れよ!あたし誰にも言わないからスクアーロも「う゛お゛ぉい。」


スクアーロが低い声であたしの言葉を遮る。
正直、恐怖がないと言えば嘘になる。




「お前…覚えてねぇのか。」


「え……うん、ごめん。」


「じゃあ全部、勢いと思いつきなのかぁ?」


「……な、何が?」


「……………。」


あたしの質問に答えずスクアーロはベットから出た。


(あ、下は履いてたんだ。)


そしてゆっくりあたしに近づいてくる。

やめて、それ以上近づかないで。


「…スクアーロ。」


「教えてやる。昨日、何があったか。」


あたしを壁際に追いやって壁に手をつくスクアーロ。

目は真剣で、とても昨日のことは忘れましょなんて言える雰囲気ではない。


あたし本当に何やらかしちゃったんだ?



「おまえ、昨日 酒飲んで来ただろぉ?」


「うん…ちゃんと自力でアジトに戻って来た?」


「ああ…だが俺の部屋の前で座り込んでやがったんだぁ。」


「な、なぜ!?」


「んなもん俺が聞きてぇ!」


「…だよね。」


「俺が任務から帰ったらいきなり抱きついてきやがって…それで、その……俺のことが…す、す……。」


「……す?」


つーか、その前にあたし何やってんのー!?

スクアーロに抱きついたとか馬鹿ー!!あほー!!

そうか…お酒のせいでストッパーがはずれちゃったんだ。
だから自分の気持ちのままに行動してしまったんだろう。

嫌だな。それでスクアーロはどう思ったんだろう?その場の雰囲気に流されちゃっただけなのかな?
そんなの悲しいよ。





「……す、す…す……。」


「もういいよ。」


「………は?」


「もういい。ごめん、迷惑かけて…スクアーロだって公私混同するの嫌でしょ?でも優しいから、あたしのこと突き放さないでおいてくれたんだよね。本当…ごめん。」


「ちが……っ、」


「もうやだなぁ…こんな貧相な身体 晒しちゃってー。誰にも言わないでよ?」


無理矢理 笑った顔はきっと信じられないくらい歪んでる。
ばれないかな、大丈夫かな?

この気持ち、押し殺すのは簡単じゃなかったんだから。
酒なんかのせいで全てを泡にしたくないの。

だからスクアーロ、見逃してよ。また普通の同僚に戻ってよ。




「……じゃあ嘘だって言いてぇのかぁ?」


「……。」


「俺に必死な顔して好きだって言ったのは全部 嘘なのかぁ!?」


「っ!?…それは、」


あたしの馬鹿!
何で言っちゃったの?今まで我慢してきたじゃない。
なのに、どうして言ってしまったの?





「……答えろよ。」


「…スクアーロは?」


「……………。」


「スクアーロはそれを聞いてどう思ったの?ああ、都合がいいなって思った?」


ぱん!!


部屋に乾いた音が響く。
それに比例して頬が熱を帯はじめた。


痛い。



そこで初めてスクアーロにぶたれたと気づいた。


「何す「何を思って、んなこと言ってんのか知らねぇが…ふざけんのも大概にしとけぇ。下手な言い逃れなんざ聞きたたかねぇんだ。」


スクアーロは怒ってるんだ。
自分自身を蔑んで、卑下するあたしを叱ってくれた。

不器用なくせに優しくて、どうしてそんなにあたしを夢中にさせるのよ。

もう無理だよ。
我慢なんかできっこない。


溢れる涙を拭うこともしないであたしはまっすぐにスクアーロの目を見た。



「…言えるわけないよ。ずっとスクアーロのことが好きで仕方なかったのに…っ!公私混同を許さないだなんて自分に言い訳して、逃げてたの………拒絶、されるのが恐くて…っ。」


「拒絶されたら、もう元には戻れないと思って…本当に恐く「拒絶なんかしねぇ!俺も…名前が好きだからよぉ。」


「…!!」


それはいつだってあたしが求めていた言葉。
ほしくてたまらなかった言葉。
そしていつのまにか夢になっていた言葉。



「…うそ、うそよ。だって…あたしなんか……仕事しか能がなくて…見た目なんか…「名前。」


スクアーロの言葉に顔を上げれば優しく抱きしめられる。

ああスクアーロの体温が伝わってきて泣きそうになった。



「嘘じゃねぇ。俺の心臓、うるせぇだろ?」


耳に伝わるスクアーロの鼓動。
熱っぽくて、慌ててるみたいに速い。



あたしと、同じ。








射し込む朝日。


小鳥の囀り。


爽やかな朝を演出するにはこれだけじゃ足りないわ。



愛する人の体温。


おはようのキス。


これで爽やかな朝の完成なのよ。







ほら、爽やかな朝になるまで
あと少し。























グッモーニン、
マイライフ



誰にでも朝はやってくるから。













20100723


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