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新宿スパンコール








アイリス


ねぇ、アイリス、





アイリス……







ずっと一緒にいてね…




















はっと目を覚ました。



夢なのだとわかって
少しだけ、本当に少しだけ落胆した







(もう一眠りしよう…)






そう思ってもそもそとふかふかの布団の中で寝返りをうつ。




そしてある異変に気付く








(ふか、ふか……?)








がばっと起きると、全く知らない部屋の大きなベッドに眠っていた





「…(ビクッ)?!!」





真隣で黒髪がうごめいたのを見てさらに身を固まらせた。









―――あぁ、だから





(だからあんな夢を見たのか…)





とても目覚めのよい懐かしい夢だった。







「…ん」

「…!?(ビクッ)」







もぞりと隣の黒髪が動く。


先程逸れた思考を前に居る男(と思われる)に集中させ考える。


寝ている時に何もせず、寧ろ隣で寝ているだけなら間違い無く殺しではないだろう


だとしたら誘拐か監禁…





どうやって逃げるか、そう考え込む前に

なにか引っ掛かった。






(……そういえばこいつ)






何処かで見たことがある。


そして思い出した







(…こいつっ、折原臨也!)






なんでこいつが隣に居るのか分からなかったが、取りあえず足を骨折させた張本人だ(少し違う)



ふつふつと込み上げてくる怒りと嫌悪に耐えながら、ゆっくりとベッドから抜け出し服の中に隠していたサバイバルナイフを取り出す


背後から首を掻き切るつもりだった。







「…(殺す)」







勢いよく首めがけてナイフを振り下ろした






のだが、






「…っ!?」






切り裂いたのは枕だけで折原臨也はそこに居なかった

羽毛が飛び散る中顔を上げるとベッドの反対側に折原臨也が立っていた。






「危ないなぁ…もう」

「…チッ」

「全く、目覚ましがナイフだとは思わなかったよ」

「…そのまま一生目が覚めないようにしてやる」




すると折原臨也はフッと嬉しそうに笑う




「ナメないで貰いたいねぇ、こっちはシズちゃんと毎日殺し合いやってる様なもんなんだよ?これくらい解るし、そんなに殺気撒き散らしてれば嫌でも気付くよ」

「…黙れ」

「まぁ許してあげる」






「?!」






明らかに油断していた






つめられていた二人の距離に気づかなかった。


簡単に体を壁に追いやられ腕を拘束され、口も塞がれた。







「(…くそっ…なんて、力だ)」




普段なら一発でこんな拘束は解けるのだがいまは足が上手く使えないせいか力が入らない。


足を庇いながらも抵抗してみるが今は普通の力しか出すことができない


やはり男には勝てない







「そう簡単には逃がさなかいよ」

「……っむがっ、んー!!!!!!」

「そんなに睨まないでよ、可愛い顔が台なしだよ」






またにやりと笑ってこう言った。






「いい話が有るんだけど」








 ―














「そんなにむすっとしないでよ」

「…」

「公園のベンチなんかで寝てたら危ない人達にさらわれてパーツ売られちゃうよ?襲われたっておかしくない、それを助けてあげたんだから少しは感謝してほしいねぇ」

「そんなことしたら、される前に全員殺してる」

「俺が抱えたときは一回も起きなかったのに?」

「…………」







少し得意げに笑った後取引の内容を言い出した。







「名前ちゃんさ、家無いんでしょ」

「…」

「住むところも寝るところもご飯を食べるところも無いんでしょ」

「…」

「まぁ君がそれを望んだのなら俺は何も言わないけど…そもそも、高校生が新しい家を買うなんて事もできないしね」






にやり、と目を細めこちらを見据えて話す。






「マンションにもホテルにも行かないで池袋の公園で女の子が野宿しなくちゃいけない理由でもあるのかな?」

「…あんた本当にうざったい」

「はは、褒め言葉かい?」

「…(この人やっぱり変だ)」





すると自分の座っている椅子から私の方へ歩いてくる

そして信じられないことを飄々と言ってきた







「うちに住むのはどうだい?」









「……は?」









「だから、うちに住めば良いじゃないか」

「は?!何言っ…」

「まぁ強制はしないよ、選ぶ権利ってものも有るからね。今回は君の自由だ、弱みとか情報とか一切抜きでいい」






この人はなにを言ってるんだろう






「まぁ…君の今の状況を良く考えて答えを出すことだね」







そうにっこりと笑う情報屋に殺意すら生まれない






「返事は今日中。もう一度言うよ」

「……」

「良く今の状況を考えてから答えを出した方がいいんじゃないかなぁ」















宿




(赤い目は)
(にっこりと微笑んだ)


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