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純情少年の事件簿




一番後ろの一番端っこの日当たりのいい席、

それが名字名前の席だ。





最初に見かけたのは入学式前日の池袋だった。



帝人と待ち合わせ場所に行くため電車に乗っていたとき電車の中で重そうなキャリーバックを持っている彼女がいた。




(…可愛い子だな)




猫耳の付いたフード付きパーカーを深く被りぼんやりとして立っていた。


大きな目、明るく染まる髪の毛、小柄な身長、スカートから伸びる細い脚。
かなりの美人だった。


しかし電車が停まった揺れのせいで彼女のバックが倒れた。俺の目の前でだ。




俺もそこまで非情じゃない(寧ろ少し下心があった)、「大丈夫ですか」と声をかけると猫耳付きのフードを被ったままキャラメルブラウンの前髪の間からものすごく睨まれた。





え、なんで?
俺なんかした?
ナンパしようとしたのばれた?





しかし彼女から出てきた言葉はいろいろな意味で俺の予想を裏切るもので






「触らないで下さい。」

「…え」





そう吐き捨て俺を睨んだままつかつかと歩いて行ってしまった。










「なんだ、あの子……」







あの前髪から覗く瞳は殺気に近いものがあった。







あんなにかわいいのに勿体ないと思った半面、また会いたいとは思わなかった



あの瞳が怖かったからかも知れない






――しかし、再開は思わぬ形で遂げられた。









「名字名前です。趣味なんてありません。特技もありません。そして高校生活にも興味ありません。できれば話し掛けないでください。」






髪の毛がキャラメルブラウンでは無く黒く染まっていたので全く解らなかった。
しかし前髪から覗く瞳とその声色は昨日電車で会った張本人だった。





(同じ学校で、同じクラス…)





なんの巡り合わせか解らないがこれも何かの縁かもしれないと思った。






そこから彼女を(言い方は悪いが)観察していると極度、寧ろ異常というほどに人との接触を嫌っていた。





話しかける女子は全部無視か昨日の電車と同じ様子だった。そのせいで早速クラスから孤立。



男子は様子を見ながら接触を試みる者もいた(可愛いからモテていた)が、やっぱり同じようなものだった。






唯一それでも接触を試みていたのは俺だけだと思う。





「名字さーん!!」

「…」

「次移動教室だぜ、早く行かなきゃ置いてかれんぞ」

「…」

「ほら、行くぞ」
「あなた、何なの?」





そう言った彼女はやっぱり俺を睨んでた。

あの電車の中よりもキツく、怖い目で。





「なに、って」

「あなた偽善者なのね、残念ながら私偽善者って嫌いなものの中でも一番嫌いなの。」

「ぇ、」

「もう話しかけないで」

「え、ちょっと…」





そう言葉を吐き捨ててまたつかつかと足早に教室を出ていってしまった












だけど、俺は諦めなかった。




多分、どこかで名前と俺を重ねていたんだと思う。


理由はよくわからない


だからこそほって置けなかった。






だからこそ、



折原臨也といたのを見たとき


俺は酷く動揺した。






学校へ来ない名前を心配して放課後池袋へ行った。

どちらかというと用事のついでに会えたらという軽い気持ちに近かった。




そこで


二人を見つけた。
見つけてしまった。




尾行はまずいと分かっていたが、名前が折原臨也のことを知らないで危ない目に合うのは嫌だと思ったから。

半ば言い訳の様に自分に言い聞かせて着いていった

いけないってわかってた。




流石にナイフを取り出してやり取りしてる時は止めに入った。



しかし




「私を助けなきゃって思ったの?そうやって勝手な正義感を振る舞って楽しかった?俺がどうにかしてやらなくちゃって」



「とんだ勘違いと自惚れ。それで自分に浸っているの?私は助けてなんて言ったかしら」








「……私、人間嫌いなんで」





横殴りで頭殴られた感覚だった。

そしてなんとなく今までの彼女の行動も理解出来た。







「…なんだ…そういう事だったのか」







純情少年の事件簿


(俺は正義のヒーロー気取りだったんだな)







 ―

長いしなんか書いててよくわからない話に…!!!




あきゅろす。
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