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真夜中水族館





トムさんが彼女と行ってこいと言って水族館のチケットをくれた。

しかもナイトアクアリウム、昼間行くなら解るが夜の水族館は初めてだった。






「え!!行く行く」

「夜だぞ、いいのか」

「行く!!めったに行けないよそんなの」






どうしてもといいはった名前に負けた俺はその日の仕事をいつもの倍早く終わらした。

















「うわ、綺麗。」

「おう」

「みてみてーアジの群れ、」

「おう」






思ったより人は少なく、大水槽の前には俺達だけだった。




青や白にライトアップされた水槽の中で魚達が自由に泳ぎ回っている






「なんだか、癒される」

「そうだな」

「私も魚になりたいな、自由に泳ぎ回るの。腕や足を水に晒してどこまでも泳いで…深く深く、沈むの」

「…沈む?」

「奥深くまで沈んで静かに息を潜めて暮らすの」





そう言って隣に立つ俺の小指をきゅっと握った







「そこに静雄は居てくれるのかな」







驚いて名前を見るとずっと水槽を見ていた。



敢えて手ではなく、小指を握る名前が可愛くて頬を緩め、ギュッとその小さな手を出来るだけそっと握り直す。









「いつまででも…」








いつまででも側に居てやる








そういうとコテンと体を預けてきたので肩を抱いた







「静雄、」

「ん?」

「大好き」










真夜中水族館



(きっと深く沈んだ私を)
(引き上げてくれるのは)
(静雄だけ)












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これ誰…
こんなの
静雄じゃない!!!!

BGM 深海少女



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