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メイプルスイートチューン





今日は本当に疲れた。
マンションの階段を上るのも億劫で仕方ない。



仕事でやらかした私はたまたまご機嫌斜めだった部長にいつもの倍怒られて、その後もぐちぐちぐちぐち…


あんまり酷い事を言われたもんだからコンビニでいつも買うデザート買おうとしたら、たまたま売り切れ



それじゃあとたまたま買った違うデザートはまずくて食べられないし本当最悪な日だ。




そんな空気をズルズル引きずってても会社で慰めてくれる人はいない


みんな遠巻きに私を見るだけだった





「はぁ……」





沈んだ気持ちを救い上げるようにバックの奥底から鍵を引っ張り上げてマンションのドアに差し込んで鍵を開けた。






「……ただいまー…」






暗い室内のなか手探りで電気のスイッチを探し付けた






「…疲れた……」






メイクを落とすのも着替えるのもかったるくて寝室のベッドにダイビングしようと寝室のドアを開けて

私は立ち止まった






「……静雄…」

「………」






ふわふわの金の髪の毛をしたデカイ図体をなぜか私のベッドに横たえた静雄の姿がそこにはあった。

恋人だから別に構わないのだが、一体どこから入ったのか。玄関に靴はなかったのに






「……静雄…起きて」

「……ん…」

「起きてよー…」

「んー……」

「しーずーおー!!!」

「…………」

「…………(この野郎)」

「………」

「シズちゃん」

「あぁぁああ!?!!!」

「やっと起きた」

「……は?…あれ」






速攻起きた静雄におはよーと言うと一瞬呆けて、思いだしたように「…あ」と言った。






「どうやって入ったの」

「合鍵忘れて仕方ねーからベランダから」

「は!?あんたここ3階だよ?!?」

「3階くらいどおってことねぇ」

「……はぁ…」






本当にいつも奇想天外すぎて何も言えなくなる。池袋最強と言われるだけある

呆れかえってしまう






「どうした?」

「え…なにが?」

「いや、なんか元気ねーから」

「え…そうかな…?」

「またなんかあったのか」

「いや、別に…なんで?」

「なんか辛そうな感じだからよ、またなんかあったんかなって」

「……」







時々、というかいつも静雄は感がいい。場の空気を感じ取るのが敏感というかなんというか






「話したく無かったら無理して話す事もねぇけどよ」

「…………なんかね」

「…おう」

「ちょっと仕事でヘマしちゃって」

「…」

「で…なんかね、たいした事じゃないのに凄い怒られて、部長に八つ当たりされて」





私だけじゃないのに、たまたま私だけしか居なかったから凄い怒られた。理不尽な事まで言われて嫌になって悔しくて、誰も慰めてくれなくて悲しくて






そこまで言ったら涙が出た。ぽろぽろ、ぽろぽろ涙がこぼれて来る






「……もう、仕事やだ…」

「……」

「辛い、んだもん…いつも、こんな、こんなんばっかで…」

「…ん」

「……しずおー」







そういって甘えると頭を優しく撫でてくれる。安心したらもう涙が止まらなくなった。



泣きじゃくる私を力加減をしながらぎゅっと抱きしめてよしよしと背中をさすってくれた

















気付くと抱きしめられながら私と静雄は寝てしまったようだった。


離さないとでもいうようにずっと優しい力加減で抱きしめてくれていたことがちょっと嬉しくてにやにやしちゃったりして







「…静雄、起きて」

「…んー」

「起きてー」

「………」

「……シズちゃん」

「ぁあ゙っ!?……あ?」

「起きた?」

「…ぉぅ…」







数時間前と同じやり取りをしてちょっと笑った







「もう大丈夫か?」

「…うん。泣いたらスッキリした」

「そうか」

「…ありがとね」

「…おう」







その時私のお腹がぐうと鳴った。そういえばお昼も食欲が無くて食べてなかったからお腹が空いた







「お腹すいた…」

「……なんか喰うか」

「多分ホットケーキミックスがあった気がする」

「じゃあ焼くか」

「うん!」

「何付けんだ?」

「マーガリンとメープルシロップ!!」

「好きだなぁ」

「甘いのは大好き!」







すると不意に立ち止まって前を向いたまま俯いている






「……俺は?」

「?」

「俺の…こと…は?」








一瞬何を聞かれてるのか分からなかったがわからなかったけど、俺のことは好きなのかと聞きたいんだと理解した。

かわいいなぁと思って見遣ると耳が真っ赤だった







「えいっ」

「うわっ?!!」








がばりと後ろから抱きしめてみればさらに耳が赤くなる






「大好きに決まってるじゃん」

「…ぉ、ぉぅ………」

「静雄は?」

「……す、好きだ」







さらに赤くなって言うからもっとぎゅーっと抱き着くとふわりと静雄が笑ったのがわかって、私もつられて微笑んだ。














(まるで)
(砂糖漬けの恋)





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