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全ての始まり(カゲロウデイズ - side story)
―――8月15日の午後12時半くらいのこと

することもないから君と駄弁っていた



「あのさ、」
「何?」
「あんたは夏は嫌いなの?」
「嫌だよ、暑いし…」
「そう?…なんか夏って何でもやり直せそうな
感じしない?楽しいことも…嫌なことも」
「そう…かもね…今もそんな感じするかも?」
「んー確かに?…でもまぁ、私も夏は嫌いかな…」
「なんで?」
「だってほら、楽しいこともやり直せたって、
嫌なことの方が頭に残りやすいでしょう?」
「ふーん………夏を…やり直す…ねー…」
「まあ、本当にやり直せるか分からないしね…」

そう呟いて、猫を撫でながらふっと自嘲気味に笑う君の横顔が、とても悲しく見えた。

「あっ!! クロちゃん!!」

突然猫が君の膝を飛び降り走り出した。

「わぁ!!」
「クロちゃん待ってー!ちょっと! あんたも
手伝いなさいよ!!」
「分かってるよ…ってうわぁ!!」
「つーかまーえたっ!」
「あー…疲れた………ふふっ」
「ちょっと、何笑ってんのよー…」
「だって…あははははっ!!」
「もー………ふふっ」

少なくともこの時は、この時だけは、唯一幸せだった夏の記憶。





(それでも、貴女は笑っていて。)


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あきゅろす。
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