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■SS
■プレゼント

タマキの誕生日には何を贈る?

この言葉がしばらくの間合言葉のようになってしまった。
もちろんカゲミツもよくそう問いかけられたわけで。
その度に言葉を濁してきた。


「全員で時計でも買ったらどうだ?」
仕事の後でキヨタカが言った。
贈り物が重ならないよう、誰が何を贈るのかは知りたいところだ。
それならば、いっそ…ということだろう。
確かに一つのものを全員で買うのなら、多少根の張るものでも贈ることができる。
「俺はそれでいいよ」
ダーツをしながらヒカルが言う。
それに伴い、全員が合意した。
もちろんカゲミツも…。

車に戻ると寝床にしている簡易ベッドに体を投げ出した。
「贈り物」なんてしたことがなかった。
そもそも、物を贈りたいと思う人もいなかったように思う。
だから、こんなに難しいものだなんて思わなかったのだ。
街に行けば物は溢れている。
何でもいいはずだ。

なのに…。

いきおいよくベッドから起きると、カゲミツは車を飛び出した。


「誕生日おめでとう!」
言葉とともにクラッカーが鳴り響く。
場所はいつものミーティングルームだが、この日ばかりは仕事のことは忘れ、タマキの誕生日を祝おうとみんなテーブルについていた。
「これはみんなからだ」
代表してキヨタカがプレゼントを手渡す。
「わぁ…ありがとう、みんな!」
革のベルトのシンプルな時計は、持ち主となったタマキの手首に品よくおさまった。
「タマキ君?これは俺から…、」
カナエが綺麗にラッピングされた包みをそっと差し出す。
「あーッ抜け駆け!」
アラタが叫ぶとカナエは赤くなってそっぽを向いた。
「別にたいした物じゃないし」
「な〜んて、実は僕も…」
アラタが差し出したのは小さな花束。
「誕生日にはやっぱり花がつきものでしょ?」
新たなプレゼントと花束にタマキは嬉しそうに笑った。
「ありがとう…本当に…」



午前2時をまわった頃だった。
タマキはソファにもたれうつらうつらしていたが、その頬をカゲミツが軽く叩いた。
「酔ったか?」
「うん…、少し。でも大丈夫だよ」
周りを見ると、他の全員も床やソファで酔いつぶれている。
「酔い覚ましに少しだけ付き合えよ」
そう言うと、カゲミツはタマキの手を引き、屋上へといざなった。
屋上の扉を開けると深夜の空気が冷たく頬を刺した。
だがそんな空気が酔った体には逆に心地よく、タマキは大きく息を吸った。
並んで柵にもたれかかる。
深夜であっても街の明かりは消えることはない。
カゲミツは、ポケットから小さな包みを取り出した。
「これは俺から……」
タマキは少し驚いたように瞳を見開いた。
およそカゲミツが「プレゼントを選ぶ」という行為自体をしそうになかったから。
「開けてもいい?」
「もちろん」
ゴソゴソと包みを解くと、中には薄碧く光る石が二つ、入っていた。
それは月の光を受けてキラキラと輝く。
「これ…ピアス?」
「ああ、アクアマリンっていうんだってよ」
海の名前がついたその石は、タマキの肌や髪の色ときっとよく似合うだろう。
「俺、ピアス空けてないよ?」
「俺もだ、」
「え?」
ひょいっとカゲミツはピアスの一つを手に取り、月にかざした。
「お互い一つずつ、な」
形に残るものを贈りたかった。
そして、身に着けていられるものを。
「ピアッサーも買ってきたからさ。明日、あけてやるよ」
タマキの耳朶にそっと触れてみる。
「痛そうでやだなぁ」
「今更、何言ってんだよ、」

触れられたところが熱を持つ。
「ありがとう…。カゲミツ…」
どちらからともなく顔を寄せ、シルエットが重なり合った。


明日には互いの耳に一粒の宝石が光るのだろう。


*:..。o○☆*゚¨゚゚・*:..。
公式の設定がわからないので、タマキ他全員の誕生日がわかりません><
それでも誕生日ネタwww
カゲミツは一生懸命プレゼントを考えそうですけどね!
でもセンスがいいのはカナエのような気がします。(カゲミツ頑張って!)
カゲミツは実際ピアスを開けてそうな気がするんですが(スチルでは確認できませんけど)、お互いおそろいのピアス、でもってカゲミツがあけてあげるってどんだけやらしいの…!と想像したら萌え死にそうになってこの話を書きました。
でも実際はピアスホール完成しないとおそろいのはつけられないと思いますがw

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