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■SS
■土曜日の午後
いつものミーティングルームにいつものメンバー。
カゲミツはソファに座りノートパソコンを動かし、ヒカルは備え付けの端末をいじっている。
ナオユキとユウトはテーブルで報告書を作成していたが、その横でカナエはアラタにチェスを教えていた。
仕事をしてる人間としていない人間…、今日は本来なら休みのはず、土曜の午後だった。

カゲミツとヒカルは元よりしたい作業があったので、車でするよりは…とミーティングルームにやってきたのだ。
扉を開けると先にタマキ、ユウトがいて…。

この仕事を始めてから、公共の休みの日、という概念がなくなりつつある。
非番であっても何か事件が起これば当然のように呼び出される。
それをボヤキつつも、内心カゲミツは当たり前と受け止めていた。
そして、実際このメンバーでなら…どんな時に呼び出されようとイヤではないのだ。
それにはもちろんタマキの存在もある。
タマキの姿は見えないが、上でやはり報告書の作成でもしているのだろう。
先に来ていたユウトがナオユキを呼び出し、何故かナオユキがカナエとアラタにも電話をして呼び出した。
が、特に仕事が残っていない二人はチェスを…というわけである。

「お前ら…仕事ないなら来るなよ」
ノーパソから顔を上げずにカゲミツが呟いた。
「だって〜ヒマだったんだもん」
「同じく」
カナエとアラタが口をそろえる。
「ヒマとか言うなよ、淋し〜なぁ…」
「休みの日に仕事してる人に言われたくないよ」
不毛な会話を遮るように、ヒカルが全員に声をかけた。
「なぁ、キリがいいところで休憩にしないか?俺、コーヒー飲みたい」
「賛成。マスターに頼んでこようか」
ナオユキが顔を上げて大きく伸びをした。
カゲミツも一区切りつけようとソファから立ち上がった。
同じ姿勢でパソコンを打っていたので姿勢が固まってしまう。
カゲミツはテーブルにあった本を取り上げると、ヒカルに「片付けるぞ」と声をかけた。
上へ続く階段を上がると、本棚にもたれてファイルに綴じられた資料を読んでいるタマキがいた。
よほど集中してるのかカゲミツが上がっていっても気がつかないようだ。
カゲミツは少しの間、そんなタマキを見つめていた。

カゲミツが目の前に立つとタマキの視界が暗くなる。
「座って読むなりしたら」
苦笑交じりに声をかけるとタマキはハッとして顔を上げた。
「ああ…、ほんのちょっとのつもりだったんだけど…」
「マスターにコーヒー頼みに行くけど、タマキも飲むだろ?」
「うん、もらおうかな」
にっこりと笑い頷くと、タマキはカゲミツが手にしている本に気がついた。
「ごめん、俺邪魔だな…」
本を片すのに邪魔だろうとその場からどこうとしたが、カゲミツはそのままタマキを本棚へと押し付けた。
「カゲミツ…?」
言いかけた言葉を遮るように、カゲミツはタマキの唇に自身のそれを合わせる。
「〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
片腕をタマキの頭上に押し付け体を密着させる。


唇を甘く噛み、舌で少しだけ舐めてから離すとタマキは顔を真っ赤にしてカゲミツを睨み付けた。
「お前…信じられない…」
いくら下からは死角になるとは言え、みんないるのだ。
「うん、悪い」
人差し指で自身の頬を掻く。
照れたりした時のカゲミツのクセだ。
だが、悪い、と口にするものの一向に悪びれる様子はなくケロリとしている。
「全然悪いって思ってないだろ!」
真っ赤になったまま訴えると、階段からアラタが顔を覗かせた。
「タマキちゃん?どうかした?」
「…なんでもない」
タマキは手にしていたファイルを棚に戻すとカゲミツを押しのけ階段へと向かった。
慌ててカゲミツも本を片付け後を追う。
階下では、コーヒーだけでなく軽く詰まめる物も頼んでこようと話している最中だった。
人数分のコーヒーの数を確認すると、
「俺行って来るよ」
そう言ってタマキはさっさとドアへ向かって歩き出した。
「俺も手伝うって」
後を追ったカゲミツはエレベーターに乗り込むとタマキに向き合った。
「タマキ、ごめんって」
「もういいよ」
軽く溜息をつくと、タマキはエレバーターの壁にもたれかかった。
短い沈黙が胸に痛い。
本気で怒らせたと思ったのだろう、少しシュンとしているカゲミツを見てタマキは呟いた。
「…………………なら。」
「え、なに?」
顔を背けて小さな声で囁かれたのでカゲミツには聞き取れなかった。
「なんでもないよ」
「マジで聞こえなかったんだって」
「別にもういいよ」
「タマキ〜ッ」
エレベーターが開くと、タマキは笑いながら歩き出した。


…誰も、いないところでなら。


・*:..。o○☆*゚¨゚゚・*:..。
タイトルが…全っ然決まらなくてUPできませんでした(TωT)
もうホントにセンスのなさがイヤになります。
別に出来上がってる二人なわけではないのですが、積極的なカゲミツが書きたかったです(*>ω<*)
カゲミツはヘタレだけどヘタレじゃないんですよぅッ
やる時はやる子なんです!だってダブクロ1でもちゃんとキスしてるし!
やれば出来る子なんです!お母さんそう信じてる(誰)。

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あきゅろす。
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