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■SS
■スキンシップ
頬に触れたり、髪に触れたり…。
スキンシップ程度のことだが、相手がタマキとなるといつもドキドキする。

移動する時はさり気なく隣に立ったり、エスコートするように腰に手を添えたり…。
相手を好きになると、全てをいい方にいい方に考えてしまう。
タマキはいつも笑顔だから…、少なくとも嫌がってはいないんだと思う。

「カゲミツ君って、本当にスキンシップが好きだよね」

ある日みんなの前でカナエが一言ポツリと言った。
絶対ワザとだ、こいつ。
スキンシップ、を強調するんじゃねぇ。
別に誰にだってするわけじゃない。
タマキだから触れたいと思うんだ。

ある日、いつものように二人で話しているとタマキが言った。
「手自体はそんなに小さくないと思うんだけど?」
タマキの手は指が長くて綺麗だ。
俺より背も低いし、体つきも華奢な方なので手も小さいなとからかっていた時だった。
「ほら、」
俺の目の前にタマキは左手を広げて見せる。
少しだけ、ラッキーなんて思いながら俺は自分の右手を合わせてみた。

「ほら見ろ、あまり変わらないじゃないか」
「そうか?やっぱり小せぇよ」
若干、一節分小さい。
その後、小さい小さくないで押し問答をしたが、タマキから手を離そうとしない。
もちろん俺から離すなんてもったいないことはしない。

会話が途切れても何となく手は合わせたまま。
タマキは顔を伏せてしまった。
合わせた指を軽くすべらせ、タマキの指の間に絡ませる。

タマキは顔を伏せたまま、それでも同じように指を曲げ…手を握り合った。

手の平から心臓の鼓動が伝わってしまいそうだった。
こうして至近距離で見つめると、タマキは驚くほど睫毛が長い。
長くて濃い睫毛が目をおおっていて、今は伏せた目元に影を落としている。

引き寄せられるように顔を近づけ、チュッと音を立てて頬にキスをした。


「…あのさ、」
「ん?」
「俺、別にスキンシップが好きなわけじゃないし、今のキスも挨拶とかじゃ
ないから。…OK?」
「OK」

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