[携帯モード] [URL送信]

■SS
■マッサージ(ギャグとしてお読み下さい)
「・・・なに、やってんだよ」
昼食から帰ってきたカゲミツが素っ頓狂な声を上げてしまったのも無理はない。

全員ひとところに集まり、女子校さながらにタマキを取り囲み、キャッキャッと談笑している。

その中心のタマキはと言うと、目の前に座ったカナエの手を取りマッサージをしていた。
「わ〜、気持ちいい」
フニャッとした柔らかい笑顔でカナエが嬉しそうに呟く。
「ここは、合谷(ごうこく)ってツボで、肩こり、頭痛、腹痛、二日酔い・・・何でも効くんだって」
「へ〜、タマキ君は物知りだね」
「元々こういうの好きなんだけどさ・・・、昨日TVでやってて、つい・・・」
はにかみながらタマキは笑った。

「ありがとう、タマキ君」
カナエがお礼を言って立ち上がると、タマキは不意にカゲミツの方を見た。
ボ〜ッと突っ立ったままのカゲミツの顔には「いいなあ」と書いてあるようだ。
「・・・カゲミツにも、しようか?マッサージ・・・」
「え・・・ッ マジで・・・?」

マッサージってあれだよな、タマキの手が触れたりタマキの手が触れたりタマキの手が・・・エンドレスになりそうな妄想がカゲミツの脳内を駆け巡る。

「カゲミツ、脳内ダダ漏れだぞ・・・」
呆れたようにヒカルが囁く。
「お前もやってもらったのかッ!?」
グルッと振り向き、カゲミツはヒカルに迫った。
「あ、ああ・・・。一応・・・」
「タマキ!俺もやって!」
「ああ、いいぞ」
にっこりと笑うタマキの前に座ろうとすると、アラタがあからさまな声を出した。
「え〜!カゲミツ君はいいよ。やめておきなよ」
「何でだよ!みんなやってもらったんだろ?」
カゲミツが頬を膨らませ抗議するが、アラタは「絶対ヤダ!」と言った。
「・・・だって、カゲミツ君相手だと、タマキちゃんて変な感じになるんだもん」
「・・・はぁ?」
「なんだ、それ、変なこと言うなよ!」
タマキとカゲミツ、同時に反論されるがアラタは無言で顔を反らした。


タマキがカゲミツの手をとり、マッサージを始める。
「カゲミツはいつもパソコン触ってるし、手も凝るだろうなあ・・・って思ってたんだ。だから・・・」
少しでも楽になればと思って、と笑顔を向ける。
「タマキ・・・」
その気持ちが嬉しくてカゲミツは感動した。
「やっぱり凝ってるな」
「そ、そうか?」
確かに親指の付け根を押されるとゴリゴリとした感触があるのが自分でもわかる。
「痛かったら言ってくれよ?」
「ああ・・・、少し痛い・・・けど、気持ちいい。これくらいなら平気」
タマキはカゲミツの指一本一本を引っ張るようにマッサージしていく。

手の平には足の裏同様に多数のツボが存在する。
それらを刺激され、気持ちいいのはもちろんなのだが、タマキの手が触れている・・・それだけでカゲミツの心臓は高鳴った。


「サンキューな、タマキ。すげぇ嬉しい!」
ニッと笑うカゲミツに、タマキは嬉しそうに微笑んだ。
「タマキ、ずっとみんなのマッサージしてたんだろ?俺もやってやろうか?」
「え・・・、いいのか?」
戸惑いがちに、だが嬉しそうにタマキは自分の手を差し出した。
カゲミツとしてはまだタマキの手を離したくない・・・という気持ちがあるので、願ったりだ。
「どうやるんだっけ?」
「えっと・・・、親指と小指を広げるようにして・・・」
教えてもらいながら、タマキの親指と小指に、カゲミツは自分の小指を絡ませて手の平を広げる様にした。

ぎこちなく、だがゆっくりとカゲミツはタマキの手の平をもみほぐし始めた。
ただ、手を触っているだけなのだが、妙にドキドキしてしまう。
上目遣いにタマキの様子を伺うと、気のせいだろうか、少しタマキの頬が紅い気がした。

「あッ・・・、・・・ッ」
「・・・悪いッ、・・・痛かったか?」
「ううん、大丈夫・・・・・・」
カゲミツは親指でタマキの掌のくぼみをグッと押した。
「・・・んッ」
タマキの口から吐息が漏れる。
手首から肘までの筋を親指で指圧していく。
元々カゲミツは指先が器用だ。
自分がやってもらって気持ちよかったツボやポイントを抑えてマッサージを試みる。
「は・・・ぁ・・・ッ」
タマキの目元は高潮し、唇から僅かに舌先が覗くとアラタの言った「変な感じ」というのがJ部隊の面々にはようやくわかった。
どうしようこの感じ、と各々顔に書いてある。
ナオユキが黙って席を立つと、ユウトもそれに続いた。
「なんか・・・キ、キスでもしそうな勢いだな」
席を立ちそびれたヒカルが小声でアラタに話しかける。
カゲミツとタマキは見つめあい、手のマッサージをしつつも若干顔の距離が近づいてきてるような気がする。

「・・・気持ちいい・・・、」
「ほんとに・・・タマキ・・・?」
「うん・・・、すごい・・・気持ちいい・・・」
タマキの瞳が潤み、表情もトロンとしている。

「割って入って止めるなり、ナオユキたちみたいに席外したら?」
ヒカルはテーブルに突っ伏して拳を握り締めているカナエとアラタに声をかけた。
「なんか、これはもう俺たちとカゲミツ君との勝負みたいな感じだから」
「でもカゲミツは俺たちのことなんかもう眼中にないぜ」

その時、

「何やってんだ、もうとっくに休憩は終わってるだろう!」
勢いよく扉が開き、ミーティングルームに入ってきたキヨタカが声を荒げた。

だが、キヨタカは知らない。
その声に事の成り行きを見守っていた全員が救われたことに。

それでもカゲミツはタマキの手を握ったまま・・・、タマキもカゲミツを見つめたまま、二人して夢未だ覚めやらず・・・と言った風情だった。
「さっさと仕事をしろ!」
そんな二人の頭を、キヨタカは持っていた報告書を丸めてはたいた。
その後姿にヒカル、アラタ、カナエの三人が密かに手を合わせて拝んでいたことも、キヨタカは知らない。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
後日談。

仕事終わりにカゲミツはタマキを階段わきへと誘い出した。
「今日・・・サンキューな。すごい気持ちよかった」
「ううん。俺の方こそ・・・気持ちよかった」
カゲミツは人差し指で頬をかき、照れながら言った。
「その・・・タマキさえよければ、またマッサージしてやるよ」
「うん」
「手、とか」
「うん」
「・・・足・・・とか」
「・・・うん」
「・・・背中、も」
「・・・・・・・・・」
少し頬を染めて俯くタマキの頬を、カゲミツはそっと撫でた。
「い、いやじゃなければ・・・だけど」
その言葉にタマキは視線をあげ、カゲミツの目を見た。
「・・・触られるの好きっていうか・・・、イヤじゃないよ」
タマキは小さな声で呟き、そしてカゲミツが息を飲むほど綺麗な笑顔を向けた。
「それが好きな人なら尚更」



・*:..。o○☆*゚¨゚゚・*:..。

エロじゃないのにエロい話を書きたいと思ったのですが・・・、見事玉砕(笑)
マッサージをされて、本当にこういう声出しちゃう人っていますよね。してるこっちまで大火傷だから!見たいな感じ。

[*前へ][次へ#]

11/14ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!