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■SS
■無意識に
「外、雨降ってきたぞ」

ミーティングルームのドアを開けたカゲミツが頭を軽く振ると、パラパラと水滴がこぼれた。
急な残業が入ったため、パーツの買出しに行くついでと夕飯の買出しに出て行ったのがつい1時間ほど前だった。

袋を乱暴にテーブルに置くと中から食料や飲み物が溢れる。
袋についた水滴がテーブルを濡らし、ナオユキが神経質そうにそれを拭いた。

それぞれが仕事の手を休めてテーブルへと集まりだす。
中でも真っ先に手を伸ばしているのがアラタだった。
「おいアラタ、それ俺のだっての」
ちゃっかりと次々キープしていくアラタからカゲミツはおむすびを2個奪った。
「え〜!僕もそれがいい!…って2個あるんだから1個ちょうだいよ」
「ダ〜メ、これは…」
言いかけた時、カゲミツは後ろに立つタマキに気付いた。
「カゲミツ、髪まだ濡れてるぞ」
手にはタオルを持っている。
「おう、サンキュ…」
手を伸ばしてタオルを受け取ろうとしたが、そのまま一歩タマキはカゲミツに近づいた。
そうして腕を伸ばし、カゲミツの髪の毛を拭いてやる。
視線が近くで絡み合った。

「サンキュ。…これ、タマキのな」
あらかた拭いてもらうと、カゲミツはタマキの手に先ほどアラタから奪ったおむすびを1個乗せた。
「やった!俺の好きなヤツ!」
素直に喜ぶタマキを見て、カゲミツは嬉しそうに頬を掻いた。


「……なにあれ」
呆れたようにアラタは呟くと、椅子を反らし後ろに立つヒカルに声をかけた。
「……両想いなの?」
椅子がギシリと音を立てる。
ヒカルは肩をすくめ、
「さぁ。でもあれで自覚ナシだとしたらタマキって相当罪作りだよな」

気付いているのかいないのか。

カゲミツが報われるのもそう遠くはないのかも…?
嬉しそうに笑いあうタマキとカゲミツを見て、そう思ったヒカルだった。

・*:..。o○☆*゚¨゚゚・*:..。
タマキは好きな相手に無自覚に近寄っちゃうタイプだと思う!(それって小悪魔…?)

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