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ぃぃぃ……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………み?家で終わらせた……?

「み、みー?」

「おっほっほっ、図星すぎて言葉もないようでごさいますわね」

「……みー、ちょっと答えが想像の斜め上でコメントできないのですよ」

「あら?なんですの、往生際が悪いですわよ梨花……ち、ちょっとにーにーやめてくださいませ。今いいとこなんですのよ」

気づくと悟史が椅子に立った沙都子の袖を猛烈に引っ張っている。
「沙都子早く座って!とにかく座って!授業中だよ」

言われてはっと周りを見る。

クラスじゅうの視線がボクと沙都子を見ていた。きっと急に沙都子が椅子にたったから……いや悟史が止めてたことを考えるとその前からか……とにかくみんな興味津々に見てる。魅ぃなんかは笑いをかみ殺すのに必死みたいで机に倒れ伏してた。……何もそこまで笑わなくても……
そしてやっぱり知恵もこっちを……

沙都子もそんな周りの様子に気づいたのだろう。顔を赤くして、すごすごと椅子に座る。小声で悟史に、何でもっと早く止めてくださらなかったんですの!?と理不尽にいうあたりに、悟史の日頃の苦労がわかる。あれ…でも沙都子ってこんな理不尽なこと言う人だったっけ?

……そうか今の沙都子はまだ2年生
ボクと一緒にいた六年生の沙都子とは精神的に違う、もちろんボクとも心の年齢が違う。むしろ、今は小学5年生の魅ぃの方が精神的にはボクと近いのか。何だか変な気分

沙都子が座ったからだろう一旦クラスの視線が離れる、と言ってもまだチラチラと見てはいたけど、さっきみたいにじっとは見ていない。
 ……知恵がつかつかとやってくる。また怒られるのか……はぁー……
ふと視界に影がさす……羽入が出てきたらしい。

「ぁぅぁぅ、今日の梨花は自分から進んで怒られに行ってるようにしか見えないのです。僕のようにおとなしくすることもたまには必要なのですよ?」

「羽入……帰ったらオイシイキムチ食べながらゆっくり話ましょうです」

「あう!……僕は何も言ってないですし、何も聞いてませんのです……また会おうなのですよ……ぁぅぁぅ」

そう言って消えていく羽入、一体何しに来たのやら、そんな間に知恵が来てボクと沙都子の頭を教科書で軽く叩く。

「沙都子さん、古手さん、学校は遊ぶためだけにくるのではありませんよ。わかりますね?」

「はい、わかりますです」

「沙都子さんは?」

「それぐらいわかりますわよ」

口答えするように沙都子、……怒られないといいけど……

「よろしい、ではこれで話を終わりにします。続きを始めてください」

もう終わり?もっと怒られると思ったのに、怒られないのはうれしいけど、なんとなくスッキリしない。
……あ、もしかしてボクが今日何回か怒られたのに、態度が変わらないから呆れられた……?言っても変わらないって……
それは怒る価値もないと言われるのと同じ、それなら怒られた方が何倍もマシだ。

「みー、何でもっと怒らないのですか?ボクたちのことキライになりましたですか?」

ボクは離れようとした知恵に声をかける……沙都子は手をぶんぶん振って、ボクに抗議した。多分、せっかく怒られなかったのに、バカなことはやめてくださいまし、といったところか、でもそれを無視する。

知恵はボクの方に振り向くと、ちょっと考えこんで微笑みながら言った。

「古手さん大人びた考え方をするようになりましたね。先生は少し嬉しいです」

「みぃ、知恵がはぐらかそうとしているのですよ」

「あ、ごめんなさい、古手さんと沙都子さんをあまり叱らなかったのは、嫌いになったからではなくて、先生にも悪いところがあったからなんです」

「みー?悪いところ?」
「なんですの?」
沙都子も怒られないことが分かったからか、話に加わってくる。
それにしても、さっき知恵に悪いところなんてあった……?
ボクと沙都子は思わず顔を見合わす。

「実は沙都子さんたちの会話は始めの方から聞こえていたんです」

「そんなに前からでございますの?」

「ええ、古手さんのはあまり聞き取れませんでしたが、沙都子さんの声がとても元気があって……」

沙都子がまた真っ赤になる。
「だから僕も最初止めたんだよ」
とこれは悟史。どうやらこちらの会話が気になったみたいだ。

「も、もっとちゃんと止めてくれなきゃ困りますわ!そしたらわたくしだって静かにしてましたのに……」

「むぅ、沙都子を止めるのは結構大変なんだ」

ついでにボクもチャチャをいれる。
「そうなのです。迷探偵の沙都子は止めても止めても推理を披露していたにちがいないのですよ。みー☆」

「二人ともっわたくしを一体何だと思ってますのっ」

沙都子の反応につい二人で笑う。
「あははは、大丈夫かわいい妹だと思ってるよ」

「ボクはかわいいかわいい迷探偵さんだと思ってますですよ。にぱー☆」

「にーにーは許すとして……名探偵、褒め言葉なはずなのに……梨花が言うと何だか不穏に感じますわね」

「みー?そうですか?素直にとってほしいのです。迷探偵だからって考えすぎもよくないのですよ」

「だったらちゃんと鏡を見てくださいまし、梨花の顔が褒めてないっていってますわー!!」

「みー☆さすがは沙都子なのです。大当たりなのですよー」
「梨ー花ぁー!」「みぃー☆」

「ところで先生、始めから聞いていたのなら、どうして止めなかったんですか?」
悟史がボクたちをほっといて先生に尋ねる。
知恵も続きを言うタイミングを探していたのだろう。これ幸いとボクたちにも聞こえるように言う。

「それは、先生も沙都子さんの推理が聞きたくなってしまったんです。だから終わるまで待っていました。
だから悪いのは二人だけではなく、止めなかった先生も悪い……そのため二人をあまり叱れなかったんです。黙っていて本当にごめんなさい」

知恵は軽く頭をさげる……なるほど、多分知恵はボクのドリルのことをよっぽど不思議に思っていたのだろう。そこに沙都子が推理を始めたから、つい聞いてしまったのか。もっとも聞いたかいはなかったみたいだけど……
沙都子は推理をきいてくれていたことが嬉しかったようで、顔がキラキラ輝いている。

「それで、先生はわたくしの推理どう思いましたの?」




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あきゅろす。
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