ぷよぷよフィーバチュー
ツキマワリ、開花
初夏の風が辺りに吹き抜けた。
今宵は月が青白く、それでも神秘的に辺りを照らした。
プリンプタウンの外れに大きな屋敷が立っていた。
威風堂々と佇んでおり広い敷地にある噴水を挟むように様々な花が群生していた。どれも月夜に眠っている中、月光を浴びて白い星の形をした花───ツキマワリが誇らしげに咲き誇っていた。
きぃ、と窓が軋んだ音をたてて開いた。大きく突出した灰のバルコニーの窓を静かに押し退け、人影が出てきた。
白銀の髪が煌めいて反射する。
纏ったマントが翻る。
「ツキマワリが咲いた…」
その声は高くもなく低くも無い透き通る声。その声は静かではあったが、実に楽しそうだった。
こつこつ、とバルコニーを硬い靴底が踏みつける。
「カードも集めたし、道具も揃えた…」
こつ、こつ。
「時が来た…」
こつん。
人間は迎え来る風を受けた。
マントがバサバサ翻ると、月光を全身に浴びるかのように両手を大きく広げた。
「さぁ、始めよう」
声は、楽しそうに響いた。
先程より低くく。
それでも先程より楽しそうに。
胸は踊り、待ち遠しそうに。
その声は放った。
ツキマワリが凜と咲く屋敷。
そこの主は不在といわれ、数々の不気味な噂を持つ屋敷…───クランデスターン。
その主が『帰還』した。
手札を集め、物を揃え、時を告げ、『開始』を宣言した。
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