見上げた空は
【3】
不意に、カタンッと音がした。
梓はハッとして制服の袖で流れた涙を拭き、音のした方を見つめた。
屋上のさらに上。
貯水タンクの設置された踊場から、1人の青年が顔を出していた。
あまり目立った特徴は無く、横長の眼鏡で縁取られた少しつり上がった目が、驚きをたたえて梓を見つめていた。
泣いていた所を見られた…恥ずかしさがこみ上げてきて、梓は急いで校舎の中に入った。
バタンッと勢い良く屋上のドアを閉める。
丁度その時、昼休みの終わるチャイムが鳴った。
先ほどの恥ずかしさと…悲しさを振り払う様に、階段を駆け下り教室へ向かった。
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