見上げた空は 【2】 あの日も、今日のような曇り空。 雨上がりで、道路は濡れて沢山の水たまりが出来ていた。 彼は待ち合わせの公園に来る途中で、スピードを出し過ぎてスリップした車に跳ねられた。 病院に運ばれたが、出血多量により2時間後に彼は亡くなった。 梓が病院についた時には、まだ温もりがあった。 その温もりが、徐々に薄れていく…… 今でもはっきりとその感覚を思い出せる。 一年たった今でも、まだ彼の事を忘れられないでいた。 友達には新しい恋をした方がいいと何度も言われたが、彼ほど好きになれる人はいなかった。 今梓がつけている指輪は、彼が誕生日プレゼントとして用意してくれていた物。 彼が亡くなった後、彼のお母さんが渡してくれた。 内側には二人の名前が彫ってある。 知らないうちに、涙が溢れていた。 赤らんだ頬を伝って、幾筋もの跡ができる。 梓は声も出さずに、ただただ涙を流した。 [*前へ][次へ#] [戻る] |