イケメン♂パラダイス
二つだけの闘志
淵「(くそ…今日も全然サイン通りに投げてくれない。まだ信頼してくれてないのか…)」
今日絶好調の豪が打席に入る。
豪「オラオラぁあ!!!はよ投げんかい!!」
淵はそんな豪の打ち気を見逃さなかった。
淵「(よし…多少ボール気味でもどんどん振ってくれるだろう。)」
外に大きく構える淵。
円「(ふっ、一年のくせに偉そうにサイン出してんじゃねぇぞコラ!ここは内角なんだよっ!)」
シュッ!!!
淵「(くっ!!また逆球!!)」
豪「ふんっ!!!」
カァアーーン!!!
もの凄い勢いで一塁線を這っていく打球。
八木「ドリャアアアアアアアアアアア!!!!!」
八木が打球に飛びつく。
パシッ!!
豪「なにっ!!」
淵「ナイスキャアア八木!!!」
八木は汚れたユニフォームをはらいながら片手を挙げて応える。
島「(味方がこれだけのファインプレーをしたにも関わらず、この静けさはなんだ…。何の事情があるかわからんが、敵ながら同情してしまうな。)」
八木のこのスーパープレイを誉め称えたのは淵と監督だけだった。
ベンチも、そしてグラウンドで共にプレーをしている選手までもが見て見ぬふりをしていた。
今日4タコの御法川がバッターボックスに入る。
淵は御法川の肩の高さにミットを構える。
円「何度構えてもお前のミットには投げねぇよ。」
シュッ!
淵「ヤバい!!ど真ん中だ!!」
カァアーーン!
御法川「あぁ!!」
ボールは空高く上がった。
淵はマスクを外し、ボールを追う。
淵「まだだ!まだ間に合う!!!ていっ!!!」
淵は本学のベンチに思いきり飛び込んだ。
安東「お、おい!君、大丈夫か!!」
本学ベンチの手を借りてゆっくり起き上がると、ミットの中を見せながら言った。
淵「ハァッ…ハァッ…まだまだ…負けませんよ…。」
円「…………」
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