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小説
図書室でみた君:三男





※学生・夢主視点

目を覚ますと、外は日が落ちかけていた。空は濃いオレンジ色に染まっている。

図書室で宿題を片付けてから帰ろうと思ったのに、気付けば熟睡していた。
どうやら残っているのはもう私だけみたいだ。

いっそ家に帰ってしまおうか、それともこのほとんど手をつけていないレポートを終わらせるか。

起きたばかりで頭が回らない。

机に突っ伏しながら、少し迷うことにした。



そうやって時間を潰していると、扉が開く音とともに誰かが入ってきた。足音は立ち止まることなく図書室のなかをうろついている。
誰だろう。もしかしたら先生かもしれない。こんなところで寝るくらいならさっさと帰りなさい、なんて言われたりして。

案の定、足音の主は私を見つけたようでこちらに向かってきた。


妙な緊張と若干の好奇心。ちょっとだけ寝ている振りをしてみよう。

足音は私の近くで立ち止まって、それからまた一歩だけ近づいた。



「…苗字さん……?」



特徴ある高めの声。
先生ではなくて、クラスメイトの松野君だ。


声からひしひしと感じたのは、彼の緊張ぐあい。少し震えた音には吐息が混じっていた。

何だかいつもの松野君じゃないみたい。クラスでの彼は、真面目で社交性はあるけど、どちらかというと大人しい。


私まで緊張してきた。
寝た振りなんてしたせいで、どう反応していいか分からないし。恥ずかしい。


何も言えずに居ると、私がぐっすり寝ていると思った様で、松野君は隣の椅子に座って本を読み出した。
さー……、いつ起きようかな。もうちょっとしたら何事も無かったかのように起きて、あれ?松野君だ。って話しかけてオッケー。

でも、あともう少しこのままでもいいかも。

隣の彼を盗み見ようと少し頭をずらしたけど、目が合いそうな気がして諦めた。

今どんな顔してるのかなぁ。お互いに。




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あきゅろす。
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