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銀魂乱舞
7.はじめての肉じゃが
一人ひとりが肉じゃがに箸をつつきながら談笑している
そんな中自分は前に並ぶ料理と睨めっこ



「早く食べろ。冷めちまうぞ」

「そうじゃ!肉じゃがは熱いうちから食べた方がうまいぜよ!」


じゃが芋を口へと運んだ陸奥守はあまりにも熱かったのか天を仰ぎながら芋をハフハフ、と口の中で転がしていた
この人を見るとどうしても、もじゃグラサンが目に浮かぶ…



「最初から味ものは辛いと思うからご飯食べなよ」


次は前にいた青い髪の男の子がそう呟いた
それに隣のピンクの髪と目を閉じていて寝ているのではないか、と思う人が反応した

「小夜は偉いですね」

「人の苦しみを分かり合えるのもなくてはならないものです」


ご飯か…。卵かけられご飯の卵なしがご飯だよな…

目の前の湯気が立つ艶のある白いご飯を最初は、と渡されたスプーンで掬う。前の人のようにならない為にちゃんと息を吹いてから口に入れた


「どうだ?うちの新米はうまいだろ」


噛めば噛むほど1粒1粒から甘みが出てそれをゴクンと飲めば喉の奥、そして体の中に入ったのがわかる
もう1掬い、もう1掬い……気づけば手が止まらない



「肉じゃがもどうだ?」

審神者から勧められた肉じゃがの芋をリズムよく掬って口にする



「そんなに早く食うと火傷するぞ」

なんだか体も熱いし目も熱い。喉を通る瞬間、自分の体が食べ物を欲していたのだとやっとわかった


「涙出てる…」


「ほら、言わんこっちゃない」

頬に水が流れる。ポタポタと服に染みを作る



「…おいしいでず……おいじぃ…」

「あーあ…涙と鼻水だらけじゃねぇか。綺麗な顔が台無しだ」


ティッシュで不器用に顔を拭かれるが箸が止まらない
周りは大丈夫かぁ?、と心配の声


「まだ沢山あるから腹一杯食えよ」


審神者の大きな手で頭を撫でられて水は止まらなくなってしまった

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あきゅろす。
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