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愛が積もる箱


「!」

目の前にいたのは、黒髪を綺麗にまとめた、男の人だった。

「?…こんばんは」

黒髪の男性は、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに穏やかな顔になった。

「見たことない顔ですね。…っと言っても、この家で社長以外の人を見るのは初めてです。失礼ですが、あなたはどなたですか?」

「へっ?!えっ…と、希梛です」

彼のひょうひょうとした返答と、穏やかな笑みに、思わず希梛は自身の名前を口にしてしまった。

「希梛さんですか。…私は、篠崎時雨です。時雨と呼んでください。ちなみに社長の秘書をしております」

社長?
秘書??

「社長が少々飲みすぎたようなので、ご家庭までお連れしたのですが、寝室はこちらですか?」

「あっ、あの!…社長って…」

「ご存知ないのですか?天音公明(アマネ キミアキ)は、当社、クライム・エンターの社長ですが」

「クライム・エンター?」

「ブライダル関係の大会社です」

ブライダル?
ブライダルって、結婚式の?

…の、前に、あの人公明さんって言うんだ。

「…失礼ですが、社長をこちらに運んでもよろしいですか?」

「はっ、はい!!」

彼はそう言うと、どこかに行ってしまった。



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あきゅろす。
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