頂話
お触り我慢
「朔月夜」
結璃さまより
*相互記念*
――コイツは気付いているんだろうか。いつも甘えた声で呼びやがって。いつもそんな短い履き物履いて。可愛い目で見つめやがって。本当はかごめが欲しい…。
ガマンしていることに気付けよ。
……でも気付かれたら我慢出来なくなっちまうだろうけど。
お触り我慢
「犬夜叉ーーっ!!」
ある日のこと。
犬夜叉は木の上で考え事をしていた。それはかごめのことなのであるが……。
――少し前からかごめが妙に色っぽく見えてきた。
本人は気付いて居なさそうだけどよ、よく風が吹いた時に捲れる履き物とか、興味ないと言っているが本当は覗き見した…い。
そんなことを考えていたら木の下から例の彼女の呼ぶ声がする。
「犬夜叉。」
「っ!!なんでい。」
頬が真っ赤なのは空をみているフリをして誤魔化す。
「犬夜叉ー。私も隣座らせて??」
かごめは何を考えているかよくわからないが、犬夜叉に座りたい、と頼んでいる。
「…めんどくせえ」
彼女が隣で座るということは密着出来る。
本当は飛び上がりたい程幸せなことなのだが、一人で興奮していることだけは気付かれたくない。
(ばれちまったら俺、死ぬかも…いや、待てよ。かごめも同じ考えだったらよ、弥勒の言ってた、両想いって奴なんだよな…。そしたら、密着して、触りたいところ触って……あ、俺何考えてんだよ。まるで変態じゃねーか)
トン トン
誰かに肩を優しく叩かれる。
「なんだよ…俺は今…かごめが…」
「…犬夜叉。私がどうしたの?」
「そりゃあ…ん?……っ!なっななんでかごめとと隣にい、居るんだよ!???」
ここは木の上。かごめが登れなさそうな木なのだが……。
「え?隣の木緩やかだったら移ったんだよ。」
そう言ってかごめは犬夜叉に寄りかかった。
「!っかごめ…」
犬夜叉は頬を真っ赤に染めて、心臓の鼓動が今まで以上に速くなっていく。
「ど、どうしたんだよ…」
犬夜叉は真っ赤な顔を見られないよう少し髪の毛で隠しながら訪ねた。
「……ただ犬夜叉の傍って安心するなあって」
「俺の傍が、か?」
「うん。ママとは少し違う心地よさがあるの。」
かごめはふふっと柔らかい笑みで微笑んだ。
「そうか…?かごめに言われたのが初めてでい。……俺はガキの頃から避けられたり逃げたり、闘った覚えしかねーかんな。」
(犬夜叉…。)
「…でも私はそれだけ傷付くことの痛みを知ってる人は凄いと思うわ。」
「?」
犬夜叉は不思議そうな顔でかごめを見る。
「犬夜叉は誰よりも傷付き易いもの。」
「ばっ!!俺が傷付くわけ…」
「ちょっとひねくれちゃったけど」
「な゛っ…」
かごめはイタズラっ子のように笑った。
ほんわかとした日和。かごめは少しうとうとし始めた。そんなかごめを愛おしそうに見つめていた。
…が犬夜叉はそんな会話の中、一般人には分からないあることに気が付いてしまった。
(かごめの服から匂うかごめ以外の臭い…まさか…)
「おいかごめ」
「?」
「お前さっき向こうの国で誰といた?」
犬夜叉の口調が少し怖くなる。
「え?由加と絵里とあゆみちゃんよ?それがどうしたのよ…?」
かごめは不思議そうに尋ねた。
「かごめの着物から俺以外の男の臭いがする」
「はあ?私、犬夜叉以外の男子に誰にも触られてないわよ?」
いや、まだ犬夜叉も触れていないのだが。
「嘘つけ。記憶をよーくだどってみろ!!」
犬夜叉は怒ってはいるが何処かで妬いている。
(今日は朝、男子といえば北条くんに挨拶しただけで…休み時間…お昼休み……)
「あっ!!」
「お昼休みの時に北条くんとぶつかった……」
「それか!何処ぶつかった!!」
(え…)
「そこまで…いうの?」
かごめは少し困った顔で犬夜叉を見上げ、尋ねる。
「当たり前だ。言えねーところでもぶつかったのかよ」
犬夜叉の口調は更に怒り、かごめは更に言いづらくなっていく。
「…じゃあ怒らないでよね」
「おう」
かごめは本当知っている。
彼は場合によっては怒ることを。しかしそれは妬いていることと比例もする。
「…私は先生に呼び出されて廊下を走っていたら曲がり角で北条くんと激突して頭と…む、む…胸にぶつかった……」
「な、なんだとーーっ?!」
犬夜叉は怒り(と焼き餅)に任せ近くに生えていた枝を折った。
「かごめの胸に触れただとーっ?!」
(そいつは俺を差し置いてかごめを…かごめの胸に触れただとーーーーっ?!)
「犬夜叉っ!!大声で言わないでよ〜〜!!恥ずかしいじゃないの!!」
「ばかっ!そんなことより俺以外の男に胸を触られてることが恥だと思え!!」
先ほどのほんわか日和と優しい雰囲気は何処へやら。2人のいる森のなかに人が通ったら思わず笑ってしまいそうな内容だ。
「〜〜!!あんたねーっ!!いい加減にしなさっ…?!」
ギュッ
かごめは語尾をいう前に犬夜叉に抱きしめられ、口を手で塞がれた。
「い、い…」
口が塞がっているため上手く声が出せない。
「お前は俺の女なのに…俺以外の奴が触わるなんて耐えらんねー…」
そういうと犬夜叉はかごめの細い体を更に強く強く抱き締めた。
「いっ…たい…よいぬや…しゃ」
かごめは犬夜叉の腕の中で一生懸命もがくが、不器用な犬夜叉は相変わらず。
「お前はな。いつも俺が耐えてんの、知ってっか?」
犬夜叉は恥ずかしそうに俯く。
「そんな中でお前から鼻持ちならない臭いがしたら余計かき消したい…」
(犬夜叉…)
かごめに宛てていた手を静かに離す。
かごめは俯いてしまった犬夜叉にとても罪悪感を感じ、とても申し訳のない気持ちで溢れた。
「ねえ、犬夜叉…。だったら私の制服に着いちゃった匂い、消してよ。」
「はあっ?!ば、馬鹿言ってんじゃねえよ!!?」
犬夜叉は顔を真っ赤にしてかごめを見上げ怒鳴った。
「だってそんなことで犬夜叉に避けられたくないもん」
「誰が避けるっつった」
「じゃあこのまんまでいいのね」
「!」
(かごめに触れていいのもかごめに匂いを残していいのも俺だけだけどよ……触ったら俺の中の何かが崩れちまう。かごめには綺麗なままでいてもらいたい……)
お触りはしたい。けれどするとかごめに迷惑が掛かってしまう。それだけは避けたい。
「嫌だ。……けど触る!!」
というと犬夜叉は手でかごめの髪から臭う部分をぐしゃぐしゃと乱した。
とりあえず髪から臭う臭いは除去完了。しかし最難関はかごめの胸から臭って仕方ない臭いの消し方であった。
犬夜叉はおどおどとし始めた。
「「……」」
(犬夜叉に、さ、触られるの…?!)
(かごめのむ、胸を触ったら……、いや、止めておいた方が…)
2人は頬を染めて黙ったまま時間だけが過ぎていく――。
そんな中、先に口を開いたのはかごめだった。
「犬夜叉…えと、あと…自分で洗うねっ!!ありがとう。それじゃあっ!!」
というとかごめはまた隣りの木から降り、楓の村の方へ走っていく。
「か、かごめ…」
ぽつんと1人、まるで捨て犬が飼い主が見えなくなるまで見つめていた。
そして木に手をつき項垂れる。
(また機会を逃しちまった。…いや…我慢も必要なのか……)
素直になれなかった犬夜叉がかごめに対してお触りを我慢するのを卒業するのはまだまだ先のことであった。
--お触り我慢 end--
○あとがき
くろ様へ捧げます(*^^*)
相互リンクありがとうございました(・ω・*)!!
リクエストが
色んな衝動に耐える犬夜叉と、それに全く気付かないかごめちゃん
だったのですが……
若干ずれていますよね?!
書いている途中から、
「あれ??リクエストとかけ離れていくような……」
と感じながら書き上げたらコレです……。
本当に申し訳ございません。
普段からくろ様にはいろいろ迷惑を掛けてしまって、頭が上がりません!!
これからも宜しくお願い致します★
――
結璃さまから頂きました!
相互リンク、本当にありがとうございます!!
犬夜叉の気持ちに、首が激しく上下しちゃうし、ニヤニヤしちゃいますよね!…よね!?( ̄∀ ̄*
あ、あともう少しだったのに…な感じの犬くんの初さがたまらなく可愛いです!鈍感だけど察して逃げちゃうかごめちゃんが可愛いです!笑
結璃さま、美味しい二人をご馳走様でした!!
こちらこそ、これからもどうぞよろしくお願いします!
くろ
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