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HoPe
あの日
真っ赤な空だったから、きっと夕暮れ時だった。






母のゆき子と引越しの荷物を一通り部屋に降ろした雅は、空気の変わった周辺住まいを散策していた。


人生の大半をイギリスで過ごしていたせいか、故郷の日本に帰ってきても懐かしさの欠片も感じられないことに驚く。


目の色はさすがに指摘されるかもしれないが、両親共に日本人だったおかげで発音、会話には全く問題がない。


だが、漠然とした不安は消えなかった。
自分に大丈夫だと言い聞かせながら、ひたすら歩いた。

遅くなっても適当に言い訳すればいい、ゆき子は本気で怒ったりしない。










気がつくと木が生い茂った神社。

長い階段を見上げて、息が詰まった。



赤い鳥居の右側に、西洋人形みたいに綺麗な女がいた。自分より少し年上だろうか、真っ白の肌と瞳がこちらをじっと見ている。その子は微笑んでいたーーー。



















眩しいくらいの朝の光の中、目が覚めても、まだ夢の中にいるような気がして動けなかった。


あれは俺が中学三年生のとき、せとなは高校一年生だった。


もう長いこと一緒にいないのに、こうして毎日のように別の形で彼女は現れる。



近づくことはできない。でも忘れようとすればそれを許さない。そういう残酷な人だ。


大人びた容姿とは裏腹に、せとなは子どものような性格だった。

本能のまましたいことをする、得意の微笑を口許に浮かべては人を魅了し好きなように操る。






ひらひら舞う揚羽蝶のようで、人は彼女を悪魔のようだと言っていた。

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あきゅろす。
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