[通常モード] [URL送信]

小説
2013.07


げほげほ、って咳が出た

お酒飲んで
たくさん笑って、いっぱい話したから

のど酷使しちゃったのかな


でもさらに喉を酷使するような
タバコを吸いたくなっているから困り者だ


口寂しい、


何杯のんだか
途中でわからなくなるくらいにはのんだ
まぁ甘いお酒が今日は多かったのだけど


お酒のんでも、だいぶ泣かないようになってきたのかな


お店を出て
まもくんがうちまでおくってくれるって言ったから
いいのに、と思いながらも
もうちょっとお話したかったからお願いすることにした


『 まもくんと次会えるのは来週かあ 』


「 あー、俺来週海外行く予定でさ、抜き取りなんだよね 」


『えー、まじかあ。寂しい。でもいいなあ。どこ行くの?』


まもくん来週いないのかあ


「ハワイ」


『うわあー、楽しそー。いいなあいいなあ』


「 海とかね。瞳くん泳げる? 」


『 あー、およげないんだよね実は 』



「ぽいね」


『ひどいなあ。まぁぼくは水着NGだからこまらないけど 』



「あー、そうだよね」


『でもそろそろちょっと海とか行ってみたい。楽しそう』


「 そっか 」


『もう10年くらい行ってないんだあ』


「行く?俺と」


『 およげないからね、僕はは 』


やめとく、と少し鼻をすすった

まもくんを困らせてしまって
少しショック、というか落ち込んだ


まもくんに気を使わせたく無かったのに

ぐすぐす、と
ゆるくなってきた鼻をすする


だめだ、泣きそ


けっきょくまもくんは家の前まで送ってくれた


もうちょっとお話したくて

なかなかじゃあねが言えないでいた

お酒飲むとこういうのがいけないよね

まもくんもだいぶ酔ってるみたいだけど


すっきりさせたくてフリスクは噛んだけど
ガムが無かったから口寂しくて

ガジガジと、すこし人差し指の第二関節を噛んだ



「 なにしてるの? 」


『 くちさびしいから 』


「 なんで 」


『 おさけのんで、きんえんちゅうでしょ?ぼく 』


「子供じゃん」


『 だってさああ 』


「 歯型ついてるよ 」


と、手を取られて指を見られた


「ま、俺も親指噛むクセあるけど」


『 ね、くせだめだよね。きをつけよ 』


とはいいつつも、
まもくんが手を離してくれないままだから口寂しくなってしまった
まもくんさあー、はなしてよ

と、まもくんの目を見ると

まもくんの手が僕のあごをつかまえて
親指が唇をさわった


『まもく、ん?』

「 かんでいいよ? 」

と、喋った僕の口にちょっとだけ入ってきた

べろ、触られてる


かんだら痛いでしょ、とべろの先でちょっとだけなめた

特に味とかしない、にんげんのあじ


爪は伸びてないから痛くない

舐めたからか、
指はもうちょっと、
関節くらいまで入ってきて

ベロをおさえられた

指から
そわせて
爪の方まで舐めてから


いらない、とべろで押して口の中から追い出すと
僕のよだれがついた指でちょっと唇をなぞられて上を向かされる



そして、

そのまま

ちゅ、


と音がなって唇が重なる


口寂しかったからかな


嫌じゃなくて、

ちゅう、とそのまま唇を吸う

するとベロがこじ開けるように僕の口の中に入ってきて
それを歯で挟む
ちょっとお酒の味と
ぼくがさっきまで食べてたフリスクのスースーする味がする

ぬるってして
あったかくて、



呼吸ができなくて
苦しくなった



『 っんっ、だ、めだ、よ、 』


と、両手でまもくんの胸板を押して
自分も数本下がって離れた


呼吸が苦しかったからか

ごほごほ、と激しく咳ごんでしまって
肺がいたい、


ごほごほと止まらない咳


まもくんは心配してか
背中をさすってくれた


「 ごめん、大丈夫? 」


『だ、いじょう、ぶ、じゃ、なっ、げほげほっ、ないよ、ばかあ!』


「 ごめんって 」


『 もー。おこった。瞳くんおこ 』


「 ごめんごめん 」


『 いや、ながされたぼくもぼくだけど 』


「だって、瞳くんがそんな顔で見るから」


『 どんなかおだよ 』


「女の子の顔」


『 そんなかおしてない!けどごめん! 』


「 なんで謝るの? 」


『流されたくせにまもくんのせいにしておこったから』


「 いや、あきらかに俺が悪かったけどね 」



『だめ、もうしちゃだめ』


「なんで?」


『恋人じゃないから』


「そうだね、」


『 そういうの、だめ 』


「 そうだね、こういうことはだめだったね。ごめんね 」



『 うん、じゃあまた今度現場でね』



「うん、お土産買ってくるね、ハワイ」


『ありがと、楽しみにしてる』



「うん」


『 じゃあね、送ってくれてありがとう 』



「うん、」


と、まもくんの背中に手を振ると

すぐに振り返ったまもくん


「 瞳くんさ、恋人いるの? 」



『 いないよ 』


「 好きな人は? 」


『…それは、』

と、けんくんの顔が脳裏をよぎった

けど、そんなこと
言えるわけなかった



「…じゃあね、また」



『うん、いってらっしゃい、』


ばいばい、と今度こそ
まもくんに手をふって

自分も家の中に入った




[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!