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小説
はちみつ7



オートロックが開いて
部屋の前でピンポンを押して待つ


『 あの、琉生兄って人、 』


「 琉生兄がどうかした 」

私が今日会った人じゃないのかな、

確認しようとしたら
ドアが開いて確認するまでもなく


「あれ?風斗くん、女の子と一緒だね。あ、瞳ちゃんだぁ」


「え?何?しってんの?」


『 えっと、今日お世話になりまして、美容院で 』


「瞳ちゃんが来てくれたんだよ」


「え、あんた琉生兄に切ってもらってんの?贅沢だね」


「風斗くん、そんなことないよ」


『あ、えっとご兄弟だったなんてびっくりです』


「似てない?僕と琉生兄」


『似てますね、テンポが。でもまさか兄弟だったって考えが無かったから驚きました』



「 似てるんだ、僕たち。僕も、瞳ちゃんと風斗くんがお友達だったなんてびっくり 」


あがって、と促してくれた琉生さん


「 別に友達じゃないよ。ただ偶然知り合っただけ 」


「でも、風斗くんが女の子連れてくるなんて珍しいから。あ、右京兄さんはちょっとお買い物だって」



「 えー、僕もうお腹空いてるんだけど 」


「すぐ戻るって、言ってた」


「 ふーん 」


疲れたー、とソファでだらける風斗くんはテレビで見るさわやか熱血な新人刑事ともキラキラしたアイドルの風斗くんとも違った


本当に、なんで私を連れてきてくれたんだろう



「 突っ立ってないで座ったら? 」


「 こっちにどうぞ 」


『あ、ありがとうございます』


椅子を引いて座らせてくれる琉生さん
やっぱり琉生さんステキだ
癒し系だ


「あんたさー、」


『え?』


「 琉生兄のおかげ?かわいいね、その髪型 」


「 かわいいよ、瞳ちゃんは 」


『ど、どしたの?急に』


お腹空きすぎておかしくなったのかな


「 戻りましたー 」


「あ、右京兄さん、帰ってきたみたい」


「 もう来てたんですね 」


「遅いよ、京兄。お腹すいた」


『あ、えっと、おじゃましてます』


「はい、いらっしゃいませ。あなたは?」



『えっと、大塚瞳と申します』



「瞳ちゃんは、風斗くんのお友達。あ、でも僕のお客さんだよ」


「 そうだったんですか。どうぞゆっくりしていって下さいね 」


『あ、ありがとうございます』


知らない人家にいること
不思議に思わないのかな
そうだったんですね、で終わってしまうくらい
いくら風斗くんの友達で琉生さんのお客さんって聞いても


「僕お腹すいたんだけど」


『 あ、何か手伝いましょうか 』


「いえ、あとはもう盛り付けるだけなので座ってて下さい」


『 あ、ありがとうございます 』


よいしょ、と隣に腰を下ろした風斗くん


琉生さんが正面に座って
なんだか変な感じだ


「オリーブを切らしてまして。お待たせしました」

と、オシャレなメニューが出てくる


『えっと、料理関係の仕事でもされてるのですか?』


「いえいえ。法律関係ですよ」


『すごいです、レストランみたいです』


「昔から兄弟たちに作ってましたから」


「そういえばうちの兄弟に料理関係っていないね」


「 うん、そうかも。お医者さん、弁護士さん、お坊さん? 小説家さん?」


あれ、なんだ、
なんでそんな職業を羅列されてるんだろう


「 そういえばあんたなんの仕事してんの? 」


一応、作曲家
でも作曲家というにはまだまだな気がしていた

『えっと、クリエイター? 』


「 なんで疑問形なの」


『 わたしなんてまだまだなんで 』


「僕自分のことそういう風に言う人好きじゃないんだよね」


『…ごめんなさい』

でも、本当のことだから


「うん、おいしい」





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