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小説
はちみつ5


今日は出勤前に美容院に行って
髪型と気持ちがリフレッシュできた

1ヶ月半ぶりにカラーもしたからプリンも直って気分がよかった

仕事も今日は定時で上がれて明日明後日は休みだ


ちょっと買い物して帰ろう


春服が欲しかったんだよね


もう桜も満開に近いのに春服を買う暇が無くてまだほとんど持ってなかった

もう、3月も終わりだ


バッグも新しいの欲しいな

靴も


スカートがいいかな
パンツがいいかな


洋服屋で選びながら
気に入った服、着回しがききそうな服を何着か選んで買う


仕事は増えてきてはいるけど
まだまだ新人の域だからそこまでお金だってそんなに余裕はない


もっと服を買いたいけど今日はこれくらいにしておこうかな、と紙袋を受け取ってお店を出る

0331、とパスワードを打ち込んで
ヴーとハズレのバイブがなった

あ、変えられたんだった

もう1週間くらいたってるのに何年か変えなかったパスワードを指は覚えていた

0707と打ち込みながらそろそろ0331の日だ、と気付いた

先輩何歳になるんだっけ、25?
出会った頃からもうそんなにたっていたのか


そういえば今年の自分の誕生日、一昨年だったのに何もせずにスルーしていた
琉生さんが誕生日割引きをしてくれたぐらいだ

ケーキ食べたいな

買って帰ろうかな


今日は多分気分に余裕があるんだと思う
琉生さんと話したからだろう


「すんません!落としましたよ」


『 え? 』


と、後ろから声が聞こえて振り返った



「これ、落ちましたよ」


と、定期を渡された


『あ、すみません』


と、顔を上げると心臓が止まりかけた


「 あれ、大塚じゃねえか 」

赤い髪が視界に入った
あのころより短い、ツンツンしすぎてない、


『 せ、んぱい 』



「おおー!久しぶりだな!」


『久しぶりです、えっと、仕事帰りですか?』


「 おお!お前も?買い物か?」



『はい、仕事終わって、えっと』


なんで、先輩に会ったんだろう
このタイミングで


「へえー、元気そうじゃん。なんの仕事してんだ?」


『 音楽関連です 』


「 すげえな 」


あ、会話おわる、

昔から、先輩相手だとうまく話せなかった



なのに、

『先輩、』


「お?どした?」


『 ケーキ、食べに行きませんか? 』


「は?ケーキ?」


『先輩、もうすぐ誕生日だからケーキ奢ります、食べたかったし』


「あー、よく覚えてたな。でも悪い、却下な」


『あ、はい』

そーですよね
急に誘ったら迷惑ですよね


「男が女に奢らせるなんてカッコつかねえし、それに、お前もこの前誕生日だったろ?今日は俺が奢るわ」


『え?』

あれ、これって


「女が喜ぶ店とかわかんねえけど、どっかいい店あるか?」


『あ、えっと、横道入ったところの喫茶店のケーキおいしいです』


「おう、じゃあそこいくか」


『 先輩、今日予定とか大丈夫だったんですか? 』


「あぁ。営業終わって直帰だったわ」



『 あ、そうだったんですね 』


ケーキ、一緒に食べに行ってくれるんですか?


誕生日、覚えててくれたんですか?


『侑介先輩、身長伸びました?』


「今更そんな伸びねえよ。あー、あれだな、お前はキレイになったな」


『どうしたんですか、そんな先輩らしく無いこと言っちゃって』


「なんだよ、せっかく褒めたのにその態度」


『 いや、すみません 』


「 お前は変わんねえな 」


『 今キレイになったって言ってくれたじゃないですか 』


「そうだけどよ。相変わらずお前は話しやすいっつーか、気が楽っつーか」


『あのころと同じで、かわいい後輩ですか?』


「 自分で言うなよ。まぁ、お前のいうとおりあの頃と変わらずかわいい後輩だけどな 」

あの頃から変わらず、
その言葉が何故だか今更胸に突き刺さった




先輩は話しやすくて、
気が楽っていうけど


私はあの頃から
先輩と話すのはうまく話せなくて
少し話すだけでもドキドキしていた

先輩と違って。


『先輩、彼女できました?』



「な!なんだよ!急に!」


『いえ、なんとなく』



「余計なお世話だ!」


『ごめんなさい』


「 お前は?どうなんだよ 」


『わたしは…今はそういう気分じゃないので』



「なんだそういう気分って。好きなやつできるのに気分とか関係ねえだろ。心が自然と惹かれてくっていうかよ」


先輩、先輩はあの頃とかわってないですね

小恥ずかしい事でも
言葉にできちゃう、

それでいて
鈍感で、

自分の好きなものに一生懸命で
周りはあまり見ていない

そういうところが
昔から、好きでした






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あきゅろす。
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