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小説
2013.03



「 1本だけ吸わせて 」


『 あ、うん 』


と、あおちゃんがタバコに火をつけた


『あ、』


その時
入り口の方から
飲み物をもってキョロキョロしている人が見えた

サングラスかけてるけど


『けんくんきた』


「 まじ? 」


と、あおちゃんは振り返った


けんくんは僕の存在に気付いたみたいだけど
あおちゃんを見て少し戸惑っていた


『 けんくん 』


「おー、」


「 どうも、 」


「えっと、」


『 あー、えっと、さっき偶然会って、あ 』

葵くんじゃ、ダメだ

あおちゃんって言ってるから
昔付き合ってた人


『間宮くんです』


「 すみません、もうちょっと早く帰るつもりったんですけど 」


「 や、いえいえ。俺が早くきちゃったんで、始めまして。大橋です 」


と、けんくんはサングラスをとって珍しく苗字を言った

たぶん僕が間宮くんって苗字で言ったから


「大橋さん?」


『うん、大橋さん』


「友達?」


『 高校の頃の、友達だよ 』


「 あー、そうなんだ、ごめんね、邪魔しちゃって 」


「いえいえ、じゃあ、俺そろそろ行くんで、ごゆっくり」


と、よくわからないことばを残した葵くん


『うん、えっと、またね』


「 うん。じゃあね 」


手を振って席を外すあおちゃん


なんだか緊張した


けんくんは荷物を置いてようやく腰を下ろした


『なんかごめんね、気使わせちゃって』



「 俺こそ人見知りだから全然気の利いたこと言えなくてごめん 」


『 いやいや、気にしなくていいよ、間宮くんだし 』


「なんだそれ、でも初めて見た、瞳の職場以外の友達。よく遊ぶの?」


『 あんまり。高校生の頃は仲良かったけど、しばらく連絡取らなくて何年か前からちょっと会うようになって、今日は偶然あった 』


「 あー、あの子ってさ、前の瞳の家来たことある? 」


『 まぁ、何回か 』


「昔さ、瞳が風邪引いた時俺瞳の家行ったじゃん?」


『 うん、 』

いつのことだろ
よくわかんないけど


「 その時瞳の友達っぽい子来たんだけどあの子かな 」


ああ、思い出した
山吹戦の時だ


風邪でけんくんが家来てくれて
寝てる間にあおちゃんも来た時があった

あの時は結構やばいと思った


『 あー、そうかも。よく覚えてるね 』


「すみません、忘れ物しちゃって」


『 わ、あ、ま、みや、くん 』


いつの間に


「ごめんねー、ライター忘れちゃって」


と、机の上に置いてあるライターを手に取る


『お、おお、そっか』


「じゃあね、瞳くん。またLINEするから」


『 お、おお 』


え、何その笑顔
何、LINEするって


けんくんはぺこり、とお辞儀をしていた
仕事の場じゃないとおとなしいんだな、知らない人に対して


「身長たかいね、あの人」


『うん、まもくんより大きいかも』



「 でけえな 」


『あ、あー』


「え、何?」


そういえば、
いつ渡そう
プレゼント


『そ、』
「 そういえばさ、 」


おう、言葉が被った


『あー、うん、どうした?』


「 すぎちゃったけど、 」



と、けんくんが紙袋を差し出してくる


『 ? 』


「ホワイトデー」


『 あ、ああ!ありがとう! 』


忘れてた

けど、けんくんは毎回お返しをくれる


『うれしい!開けてい?』


「うん」


『こ、これは!』


僕の好きな飴だ

ちょっと前にハマったんだけど
売っているお店が少ないからなかなか買いに行けないやつ



「瞳パパブブレすきだったよね」


『うん!ちょう好き!ありがと!』


しかもホワイトデー限定のやつだ


「おお、よかった。じゃあ、行こうか」



『あ、うん』


どうしよ、プレゼント渡すタイミング逃したかも


けんくんはふたたび上着をきて荷物を持つ


「 瞳荷物多くね? 」


と、笑った


『お買い物してたから』


プレゼントマークを自分側にしてけんくんには見えないように持つ


「おお、どこいく?」


『 けんくんのおうち、行きたい 』


「え?俺の家でいいの?」



『 うん、モンハン、やるの 』


「 おう、やるのか 」


『 やる。最近けんくん遊んでくれなかったからね、やってないじゃん 』


「 人聞きわるいね。瞳だって忙しそうだったじゃん 」


『 ごめんごめん 』


「ご飯どうする?俺腹減ったー」


『食べてこ、俺も減ってる』


あ、つられた


『ぼくもお腹すいた』


「なんで言い直すの?」


『 しゃぶしゃぶ!ぼくの奢りでいかがでしょう 』


「 奢りは却下だね 」


『 なんで、けんくんもうすぐ誕生日だよ 』


「 先輩だからね 」


そっか、けんくん先輩だからか

けんくんはそこらへんはなんか厳しかった

俺も先輩に奢ってもらってるから後輩に奢ってあげてって



そんなところもかっこいいのだけど


『けんくんは何歳になってもイケメンだね』



「 やめろ、そういうの 」


『ごめんごめん。じゃあ先輩いきましょう』


「 こら 」


けんくんはぼくの頭を軽く叩いた



お腹すいた、
プレゼント、いつ渡そう




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