小説 2007.03 声優業を始めた時から憧れていた人がいた とある資料で渡されたとあるアニメのキャラクターソング歌っていた人だ その人の歌い方や歌声か自分の中の何かに触れた すごい、この人 ビブラートの聴き心地がいい 癖のある歌い方だけどハマる もっと聴きたくなる 声優さんで、こんなに歌が上手いんだ 声優さんが歌うのってありなんだ と俺の仕事の幅を広げる参考にもなった そして 最近、だいぶ声優の仕事が増えてきて ついにその人と共演することになった 『 た、たにやまさんが、き、きしょうさんがいる! 』 と、驚きをまず笹原さんに報告した しかし 「 あぁ、次のな 」 と流されてしまった すごいことなのに ずっと尊敬してて 憧れていた人と一緒に演技できるのに 『絶対やる、おおきく振りかぶって絶対やる』 「 忙しくなるけどできんの 」 『 できる、絶対やるできる 』 何がなんでもやる、と笹原さんにいう だってやりたいもん 谷山さんと共演したいもん そして、収録当日 顔合わせから始まるが めちゃくちゃ緊張していた ミスが無いように台本をよみこみまくった あぁ、谷山さんにお会いできるんだ 挨拶の文章も考えてきた 気合いが入って早く付きすぎてしまってまだ誰もいないけど キチンと座って待つ 「おはようございまーす」 『 あ、お、おはようご、ざいます』 た、谷山紀章さんだ きしょうさんが目の前にいる 「あれ、俺かなり早く来たんだけど早いっすね」 『は、はやく付きました!瞳です!よろしくお願いします』 考えてきた自己紹介の文章なんか何処かにふっとんでしまった けど一応ちゃんと挨拶できた 「三橋役だよな?兄の方?花井梓役の谷山紀章です、こちらこそよろしく」 『 あ、え、あ、はい、三橋凛です、たにやまさんのこと、いぜんから存じ上げておりまして、 』 「あ、そうなんだー、俺も君のこと知ってたけどなんか思ってたのと雰囲気違うね」 『えっと、しってて、くださって、ちがいますか?』 「うん、男の子であってるよね?すごいかわいいね」 『ひっ、めっ、めっそうもありまひえん!俺、たにやまさん憧れできしょうさんって呼んでいいですかっ』 「 ん?いいよー、なんか君面白いね 」 きしょうさんが いや、きしょうさまが目の前にいる かっこいい いい声してる 俺のことかわいいっていった もう女の子に戻ってもいいかもしれない いや、だめなのかな 「何歳なの?」 『えっ、と、今19?さいです』 「 ふーん、つか腕すげーツルツルじゃね?毛は? 」 『 ミュージカルで、全身脱毛し、ちゃいました 』 「すげー、かわいいねー。女の子みたい 」 きしょうさんが、かわいいって もう女の子になってもいい 「 触っていい? 」 『 は、はい! 』 と、きしょうさんの手が俺の腕に伸びた すごい、きしょうさんの手が触れている お金かかったけど全身脱毛してよかった すごい、きしょうさんだ、 「おはようございます、何やってるんですか?」 「 いや、すげーツルツルでさ 」 木村さんだ、木村良平さん 「すごい不思議な光景ですが、よろしくお願いします」 『よろしくお願いします』 「 木村くんなんか久しぶだねー 」 わらわら、と男性ばっかりがどんどん入ってくる 名前、知ってる人ばっかりだった 主役の代永さんは知らなかったけど 「 よろしくお願いします 」 すごい、声高い 僕より高いんじゃないかな 顔合わせをして みんな一言ずつ挨拶をして 収録がはじまった 三橋役の代永さん、 主役初めてらしいけど演技すごく上手だし 阿部くんの中村さんもやっぱりさすがって思ってしまう そして、きしょうさん かっこいいよかっこいいよぉ なんかもう花井がすごくかっこいい かっこよくないシーンでもかっこいい この作品、すばらしい 面子もなにもかも この作品に携われたことがうれしくて仕方なかった 『マネージャーは任せて!俺マネージャーのベテランだから!』 「り、凛、ま、まだ、はいる、って」 「お前野球は?やんねえの?」 『俺心臓弱めだからね、スポーツ向かないんだ!でもねでもね!廉がまたやるなら近くで見るって決めてた!すごいじゃん!このメンバー!俺はみんなをすぐ近くで応援する!ね、いいでしょ?えーと、阿部くんも!監督さんも!』 「 すげえしゃべんな 」 今回の役は ハキハキしてて 明るくて 普段の自分と全然違う役だった よく喋るからセリフも多めで でも、この凛くんと同じように 楽しくて仕方が無かった [次へ#] |