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小説
05


荷物をまとめて教室からでて帰ろう、と靴を履き替えた時に放課後の約束を思い出した

オーディションがなんとかってやつ


学校くるって言ってたよな

いや、いたずらだろうしいっか


いや、でも


と何度か頭の中で格闘した後に
とりあえず電話するかと、履歴から今朝かけた番号にかける


「 はい、もしもし 」


『あ、あの、大塚瞳と申します』


「 あぁ、大塚くん、どうしたの? 」

大塚くんって、
どこの先生だよ、とかるく突っ込みつつも会話を続ける



『えっと、今日の学校の後、16時半くらいに学校の前に来てくださると約束をしていたのですが事情があって家に帰ることになりまして』



「 えー、なんで。まぁいいや。今どこ? 」


『 今は、まだ学校ですが 』


「じゃあ10分くらい待ってて」


『え!』


「すぐ行くから」


それだけ言われて電話が一方的に切れる

え、なんで

帰りたいのに


すぐに掛け直しても繋がらなくて

仕方なく荷物を持って校門の前まで向かった


なんで、
一刻も早く帰ってお風呂入りたいのに



ぐぅう、と情けないお腹の音がなって

5度目のため息を吐いた

おひるごはん、食べそこねたんだった


その時だ


プッ、と車のクラクションが鳴らされる


少し驚いてそちらに視線を向けると
黒い車がゆっくりと私に近寄ってくる

車は私の前で止まって窓が開いた


「大塚くん?お待たせ。とりあえず乗って」



『 え、嫌ですよ 』


「なんで。こっちだって時間無いんだからあんまりわがまま言われると困るよ」


とサングラスを外しながらいった男の人

まだ若い?

20代前半くらい

というか、この顔何処かで見たことある



『あ、イベント会場にいた人? 』



「え?なに言ってんの?」


そうだ、この人この前の派遣でイベント会場にいた人だ
たしか私が番号札返しちゃったの怒った人


え、まさかあの番号札、まだ何か問題があったのか

いや、違うか
電話の人と声が一緒だもん
オーディションがなんとかっていった人だ


『えっと、何処行くんですか?』


「本社だよ、とりあえず乗って」


あ、派遣の本社?なんか仕事の話だったのかな
オーディションの会場の作業とかの事かな


『 あ、はい 』

彼に言われるがまま助手席に乗ってシートベルトを閉めた


「 こんな挨拶で申し訳ないけど私は秘書の笹原ね。これから何かと合うこととかあると思うからよろしくね 」


『 あ、はい 』


「 制服じゃないの?君の学校 」


『 あ、学校、セーラー服と学ランです。さっき汚れちゃって 』


「そうなんだ…つかなんか食べ物の匂いしない?おせんべいみたいな」


『…さぁ』


多分、私のお茶漬けだろう

お茶漬けのことを思い出したらまたお腹がすいてきた


ぐぅう、と大きくお腹がなって抑えた


「 お昼は? 」


『色々あって食べれなくて』


「本社の1階のカフェで打ち合わせだから好きなもの食べるといいよ」


うちの派遣会社、1階にカフェなんてあったっけ?

あ、正面にイタトマあったかも



外食、ちょっと出費がいたいけどどうにかなるか
後半切り詰めれば


「 着いたよ 」


と、いつの間にか地下の駐車場に入っていて笹原さんに続いて車から降りた

地下に駐車場なんてあったんだ


エレベーターに乗るとすぐに1のボタンが押されてゆっくりと上がりはじめた


エレベーターとか静かな空間に限ってまたお腹がなるものだから笹原さんに少し笑われた


『 あれ、えっと、ここは? 』


あれ?本社くるの久々だけどなんか私の知っているのとちがう



「 ここは?って本社だよ。さっきも言ったでしょ?」



『え、えっと』


本社?なんの?
ここはどう考えても私の派遣会社の本社のじゃ無い


笹原さんに着いていって入り口の近くにあるカフェに入った


「何が食べたい?好きなのいいよ、経費で落ちるから」

空いている席に私を座らせてメニューをくれる笹原さんは


『あ、えっと、ホットケーキ』


「飲み物は?」


『オレンジがいいです』


「了解」

と、注文をしてくれて
おなか空かせてるからちょっと急いであげてね、とチップまで渡していたから笹原さんはなんだか大人すぎて怖かった


「君の会社調べたんだけどさ、派遣会社だよね?」


『そうですけど』


「 劇団とかやってるの? 」


『聞いたこと無いですけど』


「え、じゃあなんでオーディション受けたの?」


『 それ、オーディションってなんのことですか? 』


ホットケーキ、おいしい


「この前受けたでしょ?ミュージカルテニスの王子様のオーディション」


『受けてないです』


「いや、受けたでしょ。山吹の千石と檀で」

受けてないって言っているのに、


しかし、千石と檀
と聞いて何かが頭をよぎる


『んぐ、』


あれ、この人のあった時の派遣にいわれたよね

千石か檀って

その時なんかテニスの王子様の好きな技とか聞かれたよね、

いや、まさか


ダラダラと背中に汗が流れるのが感じる

喉に詰まりかけているホットケーキをオレンジジュースを飲んで流した

『 あれ、オーディションだったんですか 』


「何いってるの?今更」

ですよねー


『 えっと、それで 』


「 あっ、こっちです 」


と、笹原さんが立ち上がり誰かを呼ぶ


視線を向けると
男の人がこちらに向かって来た


「またせたな 」


「オーディションで会ったよね、演出の上島さん」


『あ、はじめまして』


はじめましてじゃないのか、
オーディションで会ってるかな


「 急に呼び出して悪かったな、おりいってお前に話かあってな 」



『 はい、何でしょう 』


「山吹のオーディションを受けてもらって申し訳ないけどな、君には別にやって欲しい役がある」


『 え、と、別の役?』


「 青学の不二役だ 」





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