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小説
外腹斜筋


「瞳、おはよう」


『ん、』


ゆさ、と軽い揺れと
まこちゃんの優しい声で目を覚ました

手はまこちゃんの服の中に侵入してて
まこちゃんの筋肉に手を這わせていた

ごめんね、まこちゃん

こんな従姉妹で


「 くすぐったくて目覚めちゃった 」


『ごめん』


けど、いい外腹斜筋だったよ

さすがまこちゃんだね

「今日、終わったら俺帰るけど瞳はどうする?」


『私も』


「 じゃあ一緒に帰ろうか 」


『うん、一緒に帰る』


今回まこちゃんのお家にきた理由

ひいおばあちゃんのお誕生日なのだ


今年で96歳で
毎年結構盛大にやっている

去年はこれなかったけど
今年は仕事が休みだったから来ることにしたのだ


リビングにいくとまこちゃんは母さん電気切れちゃったと報告していた

そういえば切れちゃったんだった




おはようございます、と挨拶をして
朝ごはんを食べて準備をして早々に向かうことにした


まこちゃんのお家からバスで10分くらいのおばあちゃんのお家

おばあちゃんたちは早起きだからもう準備を始めているとおもう


「そういえば凛も引っ越すって言ってたよ」


バスに乗っているとまこちゃんが不意に口を開いた


りん?
と一瞬おもったけど
はるかくんやなぎさくんの名前と一緒によく出てくる名前だとすぐに気づく

たしか同じスイミングスクールの男の子
名前の響きが綺麗だな、という印象だった

あったことはないんだけど


「あ、瞳、凛しってるっけ?」


『 名前だけなら 』


「 そっか、瞳の家の近くだったと思って 」


『 そうだったんだ、私も引っ越そうと思ったんだけど目をつけてたところタッチの差で入居決まっちゃったんだよね 』


「 引越しシーズンだね 」

確かに、今は引越しシーズンだよね
私は引越し諦めたけど


今のところも結構気に入ってるんだけど
さらに駅から近い所に物件見つけて
給料も上がるからそれを気に引っ越そうと思ってたんだけどな


「 凛の部屋の引越し手伝いに行った後瞳の家いってもいい? 」


『 うん、まってるね 』



「 ありがとう 」


まってるねって言っちゃったけど


はるちゃん、いやじゃないかな


昨日からなんだかはるちゃんに申し訳なくなってしまっていた

昔は同じベッドで寝ててもそんなこと考えなかったのに、
もう私たちも働き出して大人になってるからかな


おばあちゃんのお家の近くのバス停について降りる

ここは昔からなんにもかわらないよね



おばあちゃんは随分おばあちゃんになったけど相変わらず元気だし


いつまでもかわらないままというわけにはいかないようだった



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