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小説
.11


軽く犯されたような気分になって落ち込んでいる俺は
できる限り部屋を片付けたり洗濯をしたりと
動けないなりに家事をして気を紛らわした

だってありえないだろ
後輩にかわいい息子ちゃん触られて
そのまま後輩に見られながら…


『あ、りんちゃん、おかえり』


乾かしてきた洗濯物を畳んでたら凛ちゃんが帰ってきた


「 お前、脚は 」


『 なんか2・3週間で治るっぽい 』


「 は?そんなにかかんのかよ 」


『あー、ちょっとひびはいったんだって』


「 何やってんだよ 」


本当だよな
2週間も泳げないとか本気で落ち込む
大会まで1分1秒も無駄にしたくないのに


歩いたり大変でしかもあんな事もあったから何と無く直視しないでいたけど


『凛ちゃん、助けてくれてありがとな』


「当たり前だろ」


ずりずりと脚を引きずりながら立ち上がって凛ちゃんの元へ向かう


『凛ちゃん、しばらくベッド下でもいい?』


「おう、登れねえもんな」


凛ちゃんの許可を得てベッドの下の段に座る


「お前、床で寝てただろ」


『え?なんで?』


「ベッド、俺が出て行った時と変わってねえから。勝手に使えよ」


『何と無くだよ』


凛ちゃんも隣に腰を下ろした


「 飯、食い行くけどお前もいく? 」


『 いく 』


凛ちゃんについて行くと凛ちゃんは寮の食堂には行かずに外にむかった


『凛ちゃん、外いくの?』


「 食堂、改装っていってたろ 」


『そういえば』


タイミングが悪い

「2週間くらいかかるらしいぞ」


『俺の足とどっちが先に治るかな』


「毎回その脚で食いに行くのめんどくせえな」


確かに

朝ごはんと夕ご飯

寮の玄関で松葉杖を受け取って
とりあえず今日はファミレスに行くことにした





「毎日こんなんばっかだと栄養かたよるよな」

凛ちゃんはステーキみたいなガッツリした肉とサラダとライスを注文していて
一応バランスとか気にしてるっぽい


俺は一日部屋で寝ていたからあんまりお腹はすいてない


『 えっと、竜田揚げ! 』


竜田のみぞれのセットのやつ
それだけ頼んだ


「毎日こんなんだと食費かさむよな」


『 確かにー、おれつくろっか? 』


「 おまえ、できるのかよ。その脚で 」


『 この脚だからこそさー。部活できないし、栄養とか偏らないようにがんばるよー? 』


「無理はすんなよ」


『おっけー、任せとけ』


ほぼ同時に運ばれてきた料理を食べ始める


凛ちゃんはやっぱりお腹空いてたみたいで俺より数倍早く食べだした


『凛ちゃんおれの竜田いっこあげるー』


「食えよ」


『 お腹空いてないんだってー、おれ一日ごろごろしてたし 』


凛ちゃんは結局おれの竜田も食べてくれた



ご飯を食べ終わった後
明日の朝ごはんとか飲み物とかを買って
結構重くなった買い物袋は凛ちゃんが全部持っててくれた

そういえば凛ちゃんはいつもならそろそろ走る時間だ


『 凛ちゃん、走る時間? 』


「一回戻る 」


『なんで?おれ荷物持って帰るし』


凛ちゃんはおれの頭を無言で撫でたあと無言で先をあるく


やっぱり凛ちゃんは優しい



帰ったら俺もストレッチしとこう





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