小説
白と桃
今日は桃井さんと会う日
今日は2限までだった
一度家に戻って荷物を置いて桃井さんと待ち合わせのカフェに向かう
5分ほど前に着くとちょうど桃井さんも来たところみたいだ
「あ、瞳ちゃーん!」
『久しぶりー!』
にっこりと笑って桃井さんに手を振る
向こうも笑顔で手を振りながら駆け寄ってきた
挨拶も済ませカフェに入る
こっちの方はあんまりこないからこんなカフェがあるなんて知らなかった
ケーキセットを注文しイスに座る
おいしそうだね、と当たり障りない会話をした
「瞳ちゃんが、大ちゃん達と同じ大学ってびっくりよね、2人が来るって知ってたの?」
『わたしもびっくりしたかな、あの大学には私が行きたい学科が合ったから。偶然』
「 ふーん、そうなんだ 」
桃井さんは青峰くんと幼馴染だから青峰くんが行く大学だって知ってたはずだしたぶんそこに黄瀬くんがくるのも知っていたのだろう
『 えっと、桃井さんは大学だよね?どこ行ったの? 』
「私は近くの桐生大学。マネジメント学びたかったから」
『 そうなんだ、すごいね 』
マネジメント、なんだか私にはよくわからない世界だけど中学の頃からマネージャーやってたから将来もそういう職につく事を考えているのだろうか
「 ねえ!大ちゃん達と仲いいんでしょ?大学ではどんな感じなの? 」
『 うーん、2人と仲良くなったのは大学に入ってからだからなー。2人とも面白いし一緒にいて楽しいよ 』
「そうなんだー」
クス、と少し笑った桃井さん
私が2人と一緒にいるようになったのは大学になってから
だから大学ではどんな感じと聞かれても大学の2人しか知らないのだ
「2人とも優しいでしょー?なんだかんだで大ちゃんは面倒見いいし、きーちゃんは女の子の扱い上手いし 」
『うん、』
「2人とも優しいから孤立してる子とかほっとけないとこあるしー、あ!別に瞳ちゃんのこと言ってる訳じゃないからね!」
『 あ、うん、平気 』
確かに2人とも優しい
それに私は2人以外にあんまり友達もいないけど
多分2人が一緒にいてくれるのは孤立してるから同情とかじゃなくて私と同じで友達だと思ってくれてるからだと思っている
だから、そんな事言われても気にしない
「瞳ちゃんって彼氏とかいるの?彼氏さんに大ちゃんとかと仲いいと文句言われちゃわない?」
『今は彼氏いないから、』
「そっかー、あ!もしかして大ちゃんかきーちゃん好きなの?」
この子は何が言いたいのだろうか
こんな事を聞くためにわざわざ私と遊ぶ約束を設定したのか?
『あははー、2人とも友達だからなー』
「 大ちゃんが好きなんでしょ?わかるよー 」
『 え? 』
「女のカン」
クス、とまた笑った桃井さんに鳥肌がたった
「大ちゃん優しいからねー」
『え?ちょっと待ってよ、誰もそんな事』
「私のカンはよくあたるよ」
確かに当たってる
でも、なんか悔しくて認められない
「 でも残念、大ちゃんは巨乳が好きだからなー 」
そういい、テーブルを挟んで手を伸ばし、私の胸を鷲掴みにした
『ちょっと、』
パシッと手を払う
「 Dカップ。大ちゃんの好きなサイズまで2つ足りないね 」
そう笑顔でいう彼女の胸は、きっと足りているのだろう
「 だから、きーちゃんと大ちゃんの間うろうろしてるの?きーちゃんはあなたみたいなタイプ好きだから居心地いいでしょ? 」
『人聞きの悪いこと言わないで。2人とも友達だから』
彼女を睨むけど
全部を否定できない自分が悔しい
はたからみればそのように見えても不思議じゃない自分達の関係だ
「 そう、まあ大ちゃんとは一生友達で終わるんじゃない?大ちゃんはあなたみたいなタイプ好きじゃないと思うし 」
『なんなの?そんな事いう為にわざわざ呼び出したの?』
「 あなたがあまりにもはっきりしない態度だから、つい口出ししたくなっちゃったの 」
『青峰くんの幼馴染だからって、そんな事まで口出しされる筋合い無い。青峰くんの事すきなの?』
これは私の女のカン
多分合ってる
「好きよ、ずっと。それに大ちゃんもあなたより私の方がタイプだから」
『 あなたなんか、胸だけでしょ?女の子として見られてないよ 』
悔しかった
でも、これは本音
私は青峰くんとの付き合いの長さも負けてるけど彼女が幼馴染としてしか見られてない事はわかっていた
だからつい言ってしまった
すると、パシンッ
頬に痛みが走る
「そんなこと!あなたに言われなくてもわかってるわよ!」
そういい出て行ってしまった彼女
居心地がわるくなりわたしも店を後にした
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