[携帯モード] [URL送信]

小説
05



『おはようございます』


「お、おう」

今日は珍しく私より先に宮地さんが来ていた

最近宮地さんとシフトがかぶらなくてシフトがかぶったのはこの前送ってもらったぶりだった

『この前は送ってもらってありがとうございました、本当に目が見えなかったんで助かりました』


そう言ってぺこりと頭を下げる


「いいって別にそんなにかしこまんないで」

かしこまったのであろうか
今まで仕事先はみんな年上だったためこういうのはどういう態度をとればいいかよくわからない

「何持ってんの?」


『え?スタバですけど』

今日は時間があったからスタバによってきた
そうしたら新しいフラペチーノとラテがでてたのでラテを買ってきたのだ

「じゃなくて味!」

『あ、新しいやつです』


「え!まじ?今日からだっけ!?うあー飲みたいと思ってたの忘れてた、上がってからじゃスタバしまってるしマジ轢く!」


何を轢くのだろうか
スタバか、それとも忘れてた自分か


『飲みます?ひとくち』


「え?」

あれ、ここは反応を間違えたのだろうか

『おいしかったので』

「あ、じゃあ…」

なぜかよくわからない空気になってしまったが宮地さんにスタバを渡す


「なにこれ!ちょううめえじゃん!さんきゅな!」


『あ、いえ』

おいしいですよね、これ

宮地さんのキラキラした笑顔を初めて見た気がした
思わず凝視してしまいそうになったが
目線をそらす


『あ、お勉強中でしたか、すいません、邪魔してしまって』


目線をそらした先の机の上に広がる参考書など勉強道具が目に入った

宮地さんが私より早く来てたのはどうやら勉強をしていたらしい

「あ、べつにいいって」

『テスト、あるんですか?』


前の接客業の癖だろうか
会話を続けさせようと話題を降ってしまった

どう考えても勉強中だから会話を続けさせるべきではなかったのに

「あぁ、もうすぐな」

私は専門学校の出だから大学がどれくらいテストをやるのか全くわからなかった


「だから、あと少ししたらバイト休むわ」


『そうなんですか』

テスト前ですもんね
バイトより勉強のほうが大事に決まっていますよね

宮地さんとシフトがかぶることが多いせいか
宮地さんが居ないお店はいつもと違う気がしていた
だから宮地さんと仕事がかぶってない日はなんだか少し違うお店で働いてるような居心地の悪さを感じる気がした
まあそれはまだ私が慣れてないだけなのだが


「だから、俺が休んでる間ヘマすんじゃねーぞ」


『あ・・・はい!』

宮地さんは私の教育係だ

少しでも、宮地さんは心配してくれてるということなのだろうか
大丈夫ですよ宮地さん、
わたし、がんばります
だから宮地さんも気にせず勉強頑張ってください


「お前笑えんだな」

『え?』

「お前笑ってんの初めて見たわ」

『そうですか?』

「やっぱ似てるかもな」


『誰にですか?』

「誰だっていいだろ」

あんまり詳しく聞くと怒られるような、いや
轢かれる気がしたから諦めた

私も、宮地さんのあんなふうに笑ってる顔、初めて見ましたよ




[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!