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小説
09



『っぅ、…』


痛みで目を覚ますと

冷たい地面に転がされていた



「あ、おい !起きたぞ!」


「おお、半間さんなんだって?」


「ぶっ殺していいってよ」

朦朧とする意識の中で声が聞こえた


頭が痛かった


後ろから硬いもので殴られたような痛みだった



「ドラケンの弟っていったって大したことねえなぁ」


「所詮は弟だしな。まだ発達途中の中坊だ」



「弟って言う割には女見てえな顔してるよな」


「たしかに、本当は女だったりして」

手足が縛られて
動けなくて

頭が痛くて



あれ、これ、

前に同じ事があった



そうだ
夢と一緒だ



「ちょっと脱がせてみようぜ」


「お前本気か?」


「男だとしてもこの顔はいけんだろ」


「たしかに、なぁ」


と、舌なめずりをしながら近寄ってくる手


抵抗する気にもなれなかった

だって、夢と一緒になって欲しくないから


このまま、
おれはどうなってもいいから
けんにいは来ないでと願った


溢れ出す涙で視界が歪む


洋服を引き裂くように
手が伸びてきた



しかし、
そこで絶望するのはやめた



バブー

と、聞こえてきた排気音だ



ふふ、と少しだけ笑みがこぼれた



「あ?なんだ」


『んー!ー!』


口のガムテープを剥がして、と言うように
足元に擦り寄った



「たしかに口に突っ込むのも悪くねえよな」


と、乱暴に口のガムテープを剥がされた



『ぷは、っ』



そして、目の前でカチャカチャとベルトが外されていく



『瞳、初めてなんだけど』


「そーかそーか」




「うっせー!さっさと突っ込むぞ!」



『ねぇ、らんぼうにしないで』

と、体制を建て直して


すりすり、と少しだけ後ずさりをした


「逃げようったってそうは行かないぜ!」



と、本格的にズボンを下ろそうとした時だ



一瞬にしてその男は倒れた



そして


「は?」


「え?」


と、周りの奴らも理解できていないスピードで
倒れていく



『まいきいいい!』



「瞳、何された」



『まだ大丈夫!それよりけんにいが!』



「分かってる。ほら、行くぞ」


と、マイキーくんが手と足のガムテープを切ってくれる



そしてすぐにバブの後ろに乗った



そこで震え出した身体が情けなかった



『まいきいい、』


「泣くな、まだ終わってない」


と、マイキーのお腹に捕まる腕を上からぎゅっと握ってくれる


『うん、けんにいが、けんにいが』


三ツ谷くんから駐車場という連絡が入っていたから


すぐに駐車場に向かうと

人の集まりが見える


その中心には
頭から血を流して座りこむ
けんにいの姿が見えて


「マイキーくん!」

バブから飛び降り
けんにいに駆け寄った


「瞳、どうしたその頭。血出てんぞ」


『けんにいもだよ!』


どうしよう、けんにいがしんじゃう、と
その場に座りこむ


「なるほどね。俺を別のトコ呼び出したのはケンチン襲う為ね」


と、マイキーくんの言葉に一瞬あたりが静かになった


「それで瞳も襲って、助けに来なかったオレのせいにして東卍真っ二つに割っちまおうってことか?」



「俺はただぱーちんを!」


と、ぺーやんがさけぶけど



と、マイキーくんは冷静だった



「これはお前のやり方じゃねえ。誰にそそのかされた?」


その問に黙り込むぺーやん

しかし、


「へぇー。意外。マイキーって頭もキレるんだ」


と、先程見た顔が現れた


「お姫様も難なく見つけちゃうしさー。だりぃ」


「…誰?」


その顔を見た瞬間
身体がガクガクと震えてしまう


さっきの恐怖を思い出してしまう



「オレが誰とかどーでもいいけど」



「瞳?」


と、けんにいが肩を支えてくれた


『あいつ、』



「一応今、仮で愛美愛主仕切ってる、半間だ」


「お前が裏でネチネチしてるキモ男?」


「めんどくせえなぁ、マイキーちゃ」


と、半間の言葉を最後まで聞くことなく

マイキーくんの脚が半間の顔面にむかった


しかし、その蹴りは
半間の腕で受け止められてしまう



驚いた、マイキーくんの蹴りが止められることなんて
今までほとんどなかったのに






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あきゅろす。
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