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「んっとねー、新入生歓迎会っていうのは「新入生、つまり俺らのために3泊4日で親睦深めのお泊り会のことなんだ。」……僕が言おうとしたのに。」

 祥が言おうとしたところを尚樹が言ってしまったようでムスッとしてしょげてしまった。

 ……別に誰が説明しようが一緒じゃない?


 高瀬はまだ寝ている。俺に付き合って慣れない早起きなんてしたからだろうか?…………まぁ高瀬だしね。朝来ただけでも凄いから放っておいてやろう。

「で、矢高先生も言ってたとおり学年で二人ずつの組を作り、2、3年と合わせて6人の班を作るんだ。でも生徒会の奴らと組むときは別。」

「別?」

「生徒会ってなんかすっげー人気あんじゃん?そのせいで生徒会内で組作るか、あっちが指名しての組になるんだ。ちなみに班は2人だけ。」

「もしかしてだから、」

「指名してー、っていうアピールしに皆いなくなったのさ。」

 やっぱりか。

「ありゃバーゲンだ。」

「高瀬、起きたんですか。」

 ぐっすり寝ていたはずの高瀬が顔を上げていた。まさに寝起きのような、不機嫌そうな顔をしている。…………寝起き最悪なんだな、お前。

「人気者は一人、一緒に組みたい奴は大多数。」

「………とりあい、ですか。」

「まさにバーゲンでしょ。」

 祥が復活したようだ。

「でも毎年役員同士で組んでるんだから、あんなわざとらしいアピール、徒労に終わるのにね。」

 と、徒労…………。 そこまでして一緒に組みたいものなんか……。

「なんたって顔良し!成績良し!家柄良しの三拍子そろった方々なんだから!!会長の圭様なんてもうかっこよくて……!」

「あぁ祥は会長のファンなんですよね。」

「そうだよ!!他の役員なんて目じゃないよ。だってあの身のこなしにあんなに「もうやめとけ。」………ぶー。」

 うーん、あれのファンかぁ………。どうみてもただの俺様下半身野郎じゃないか。まぁ一応借りはあるし。………そういえば暴いてやるって言われたんだっけ。接触ないといいけど………。

「今年はどこだろうねー。」

 祥が言った。

「去年はフランスで一昨年はドイツだったんだって。先輩に聞いた。」

「尚樹はどこだと思う?」

「イタリアとか?ヨーロッパ辺りかなぁ。祥はどこだと思う?」

「うー、スペインとか?世界遺産巡りとかあったら愉しそうだよねー。」

「グルメツアーとか古城巡りとかありそうだよなー。」

「……………。」

 高瀬は寝起きの不機嫌さを隠せないままボーっとしていた。間違えた、隠そうなんてしてない。

 フランス、ドイツ、イタリア、スペイン…………どれも無理だな。あの辺りは組織の支部が集まってて俺が動くにはまずい。外国だったら適当にばっくれるか。

 日本だったらちょっと行ってみたいのにな。




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