大人になるその前に
04
「風呂ありがとう」
「別にいい。そんなことより…なにがあったんだ」
きた。
迎え合うように座り、俺は正座になる。
風呂に入ったばかりなのに汗が出てきた。
さて、なんて説明しようか…。
悶々と悩んでいると、眉を下げて俺の頭を撫でた。
「嫌なら話さなくてもいい。ただいきなりのことで驚いてな…」
その表情から心配してくれてるのがすぐに分かる。
徹は昔から優しくて心配性だ。
小学生の頃俺と隆太が取っ組み合いの喧嘩をした時、隆太は大泣きして俺も泣きそうだった。
でも泣きたくなくて我慢してたらかなり心配してくれた。
まぁそれで結局泣いたけど、三人の中では兄みたいなもんだと思っている。
だから何でも話せる存在だ。
俺は話す決心がついた。
「隆太に…やられた」
「なにをされたんだ」
やっぱり勇気がいる。
男が男に犯されたんだ。
気持ち悪がられてもしょうがない。
心配してくれているのになにも言わないわけにもいかないだろ。
俺は勇気を振り絞った。
「っ……。無理矢理、犯された…」
思わず俺は下を向く。
今の俺に徹の顔を見れるわけがない。
そう思ったときだ。
ガチャン、そんな音がした。
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