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大人になるその前に
09




徹の方を見ると、徹は眉間に皺を寄せていた。



「…言わないつもりだったんだ。俺は『友達』としてお前のそばにいれたらそれだけでよかったのに」


徹は目線を俺から隆太に変える。

その目は恨めしいかのように隆太を見た。





「俺を騙してたのかよ」


はっきり言ったらそういうことじゃん。



「お前らは俺のことをそういう目で見ておきながら友達のフリしてたんだよな。そうだろ!?」



俺が少し声を張り上げて言うと、二人とも困惑したような顔をした。

図星か。


すると、隆太が俺の手を掴んだ。



「そういうことになるかもしれない。でもそれが一番だって二人で決めたんだ」


隆太はいつものふにゃふにゃした顔とは違う、真剣な顔だった。


なにもかも急すぎてわけわかんねえ…。


隆太に犯された?二人は俺が好き?

しかも男。


頭ん中ぐちゃぐちゃだ。


「くそっ…」


視界が歪むのが分かった。


俺は目を強く閉じ、顔を腕で隠す。


俺ってこんな涙腺弱かったっけ。


泣くな、泣くなと思っても次々に出てくる涙。


すると俺に近付く手が、腕の隙間から見えた。



「凛ちゃ…」
「さ、わんなっ!!」


部屋に鳴り響く渇いた音。

俺が凛太朗の手を叩いた音だ。


俺は、はっとする。

隆太が悲しそうな顔をしたからだ。




「おいっ、凛太朗…!」




たまらず俺は部屋を飛び出した。
















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あきゅろす。
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