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大人になるその前に
07





「…冗談やめろよ。面白くないって……」



隆太が俺のことを好き?


俺だって好きだ。


でもそれは友達として。
隆太の感情とは違う。


いきなりのことに混乱してしまう。


すると隆太が口を開いた。



「冗談なんかじゃない。俺は凛ちゃんのことを友達だなんて一度も思ったことないよ」



真っ直ぐな目でそう言う隆太の唇は震えていた。

手元も見ると、震える手を固く握りしめている。


いつもと違う雰囲気だったが、やっぱり隆太は隆太だ。



いつから俺をそんな目で見ていた。


そう疑問に思っていた。

だが凛太朗の言った『友達だなんて一度も思ったことない』という言葉から、会ったときからだろう。


そんな感情を向けられてるのに全然気付かなかった。


ずっと一緒だったのにっ……!



「また泣かせたな隆太」


「ええっ!?泣かないで凛ちゃん!」


「うるさいりゅうたあ!!…徹はいつから知ってたんだよ」


徹はソファに座りながら答える。


「小学校に入学した頃だ」


そんな前から…。

小中高一緒だったのに気付かなかったなんて。

ますます自分を情けなく思った。



「無理矢理したことは本当に悪いと思ってる。謝っても足りないぐらい…」



隆太は頭を下げた。

そして不意に俺は思い出した。



「…許してやらんこともない」



「えっ」









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あきゅろす。
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