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大人になるその前に
05




何の音だ?
そう思い、下にしていた目線を上にあげる。





…徹がいない。
俺の目の前にいたのに。

じゃあさっきの音は?

まさか……。



嫌な予感が頭をよぎる。


すぐさま俺は立ち上がり部屋のドアを開け、廊下に出た。
辺りを見わたしたが徹の姿はない。

言わないほうがよかったかも…!




俺は徹が行ったであろう場所へ走って向かった。


体から出てくる汗はさっきまでの冷や汗か今の疲労からくる汗なのか分からない。
そんな遠い距離でもないのにハァハァと息切れをしてしまう。

予感が当たって欲しくないとドキドキしているからだと思う。

もう一つはこのドアを開けないといけないということ。


でも今は悩んでいる場合なんかじゃない。


意を決してドアノブを押した。



「よくもっ…!」


基本俺の予感は当たる。

部屋に入ると、案の定徹が隆太の胸ぐらを掴み、壁に押し付けていた。




それを俺は二人の間に入り止める。
すると徹は胸ぐらを掴んでいた手を離した。



「凛太朗、どけ」


「っ…。…もういいから!」


「なにがいいんだ!!こいつはお前を犯したんだぞ。それともそんなことをされて嬉しかったのか!?」


徹は『あ…』と口を押さえた。
思わず口に出してしまったんだろう。

そう思われてもしょうがない。
普通ならあんなことされて止めるヤツなんていない。


俺も普通ならあんなことされたらぶん殴ってるかもしれない。

でもそれでも小さい頃から一緒だった隆太を殴れなかった。



「んなわけねえだろ!!怖かったよ!けど、こんなクソ野郎でも、やっぱ縁切るとか無理だよ俺……」







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