【 人間万事塞翁が馬 】 10 ******** 「すみませーん、遅れました?」 「疑問形で聞くなよ。100%遅れてるだろ」 すみませーん、と軽く返事をして、俺たちの席であろう、空いている席に座った。 (もちろん隣に大介も座らせた。委員長は割と寛容なようだった) 委員長からの話が始まる。が、俺の隣では大介は考え込んでいるようでかなり上の空だった。 (だから昨日気長にいこーぜーって言っといたのに。) まあ彼はちょっと世の中とゆーか、人をナメテルところがあるんだろーな。 別に更生させよーって思っているわけじゃないんだけど。 (それにしても、ちょっとキツく言い過ぎてしまったかもしれない・・・) 俺はちょっと反省の意味をこめて、大介の分までしっかりと話を聞くことにした。(珍しいとか言うなよー) ******** さすがは顔合わせ、自己紹介と簡単な連絡だけで、委員会は30分ほどで終了した。 ・・・残念ながら、やはりなかなか仕事の多い、めんどくさそうな役職についてしまったようだ。 さて。 「大介ー?帰らないのか?先教室戻るぞ?」 「・・・ん」 「先戻って大丈夫なのかー?ちゃんと道わかる?」 「行く」 即答かよ。まあ行きも上の空で俺に腕を引かれるがままだったしな。 黙って歩く俺とその少し後をついてくる大介。 それにしても考え込みすぎだろうよ大介よ!! 人通りの少ない廊下の途中で、俺は仕方なく大介を振り返って言った。 「あのさ、大介。別にそんなに考え込まなくてもいいから」 そういえば大介はキョトンとした顔で俺を見返した。 「別に大介がどんなやつかとか別にどうでもいいし、からかおーってんで話かけたとしたって別にいいよ。 気にしてない。ただワタシはこんなだし、君が期待しているであろう反応はしてあげられないかな?」 大介は黙って俺の話に耳を傾けている。 「だから怒ってるとか、そういうわけじゃないんだ。 それにそりゃー級長に推したのは仕返しもあるんだけどさ。 ただ人をナメてかかると、痛い目見ちゃう時が来るかもね、って話ー」 そう言ってニヤリ、と笑えば、大介の体から少し力が抜けたようだった。 「・・・悪かったよ」 ******** [\(^0^)][(^0^)/] |