[携帯モード] [URL送信]

あんたらしいよ(笑)

帰宅すると、彼はいなかった。

「…翔太ー?」

休みの日は大抵家にいるし、2日続けて飲みに行くこともないだろうし、…いないのはちょっと不思議だった。まあ、いいか。メールして、ご飯の支度して…

「!」

携帯のバイブがなった。長いから、電話…かな?開くと、それは彼からだった。

「もしもしー」
『…もしもし』

静かな風のBGM…これは、外?

「何処にいんの?」
『…公園』

わお、ビンゴ!

「やった!」
『な、何が?』
「別に〜」

いえーい読みあたり☆って…そうじゃなくて、

「で、どうしたの」
『あのさ、今、出てこれる?』
「うん」
『じゃあ…家の前の公園に、ちょっと来て』
「前の公園?」

アパートの窓のカーテンを覗くと、彼は笑顔で手を振っていた。薄暗くてよく見えないけど。

「了解したー」

何の用か知らないけど、ま、悪い事じゃなさそうだし。いってみるか。













公園につくと、彼は何やら挙動不審だった。手をボキボキならして、なんだよあたしとやる気?それはないか(笑)

「よ!」
「や、やあ有紗ちゃん、し、仕事お疲れ」

「…本題、は?」

こっちから切り出さないと絶対言わないな、こいつの場合。

「あ、あの…っ」

切り出したかと思えば、急に地面に片膝をつき、俯いた。いきなりだったので、驚いて一歩下がる。すると、彼の後ろに隠れてて見えなかった細長い袋を私に差し出した。…なんだ、これ…



「これを…君の左手の薬指に、…ッは、はめてほしい…、」



…???
暗さに目が慣れてきたが、透明なビニールに入ったそれが何なのか理解できない。しかし、1.5メートルほどの長さを持つなぞの茶色っぽい物体を、どう指にはめろと?とりあえず、これは一体…私は近づいてみて、ソレに触ったり匂いを嗅いだりしてみた。これは…

「…ケーキ?」
「い、いやッ…ば、バウムクーヘン…」
「!」

バウム…クーヘン?それって…


自然と、口が横に開いていくのがわかった。こいつ…。私はそれを持ち上げて、ビニールから取り出した。薬指にはめてみる、が…右手で押さえないと折れるわ、当たり前だけど。私はクスっと笑って、そのしなるバウムクーヘンで彼の頭をポスっと殴った。

「…あ、有紗…?」恐る恐る顔を上げる翔太。
「どう?」ドヤ顔でそれを見せ付ける私。

彼の満面の笑みがちょっとかわいいな、とかいう立場逆転の感想を心の中で呟いてみる。





長い指輪(?)にかじりつきながら、すぐそこまでの帰り道に、彼はおかしな事を聞いてきた。

「ねえ」
「?」
「…やっぱ…変だった?」

気にしてるのか、ここまで風変わりなプロポーズをしておいて!私はバウムクーヘンを飲み込んで、答えた。





「あんたらしいよ(笑)」





-END-









今、ちょっととある漫画家様にはまっていまして…この話はその方の影響受けてると思われます。なんていうのでしょう…雰囲気、でしょうか?ちょっと展開早すぎてすみません。私に画力があれば漫画にしたかった!因みにバウムクーヘン一本食いは私の願望。いいなあ有紗ちゃん! 

拙い文章でしたが、最後までお読みいただき、まことにありがとうございました!







[*前へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!