あんたらしいよ(笑) 2 「ああ〜…うあああ〜…う〜ん…」 「なんだよ!」 「どーしよかなあああ????」 「知るか!」 こんな会話が続いてもう5時間。相談事があったので、高校時代の親友・佐伯を居酒屋に呼び出したが話は全くまとまらない。佐伯に相談して解決するとも思っていなかった…というのは本音だが、それは黙っておこう。 「なあ佐伯、お前指輪いくらで買ったんだっけ?」 佐伯は、既婚者である。少しだけ人生の先輩っぽい。そんなこと思いたくもないが。 「俺は50万だって」 「50…」 だよなあ…高いよな、指輪って。よく知らないが。 「そんなのピンキリだから!気にすんなって」 「気にするだろ!なあ!相場は??相場はいくらなんだよ!」 「知らねえって…給料3ヶ月分とか?」 「それは古くね?と、言うより無理」 「ふーむ…」 佐伯は少し目線を斜め上にあげて、少し考えてから言った。 「あの…さ、まあ指輪を貰って本当に喜ぶかっつーのも問題じゃね?」 「…一理…」 「だろ?」 佐伯が言ってることはわかる。昔、彼女の誕生日にネックレスでも買おうと思ったが、よく見ていると彼女はアクセサリーを全く身に付けない。だから、ネックレスなんて貰ってもうれしくないだろうと思い、そのときは別のものにした。そんな彼女に結婚指輪をあげても喜ばないんじゃないのか?いや、それとも結婚指輪だけは特別か?…わからん…わからん…! 「女心はわからん!」←結論。 「それで終わらせるなって、俺にもわかんねえよ」 「じゃあ何故お前は結婚できたんだ!?」 「…さあ?あ、俺明日仕事だからもう帰るな?」 「おう…お開きにすっか」 結局、何の解決にも繋がらない結論を出して帰ることになるとは…無駄な時間だったな。呼び出して悪かったな佐伯、相談相手は選ぶべきだったぜ、なんて心の中で呟きながら上着に手を通す。 「…なあ」 ん? 「なんかしらの思い出ないの?」 思い出? 「だからさ、彼女の喜ぶものとか、他はいうなら例えば2人の思い出にまつわるものとかがいいんじゃねえの?」 思い出…。思い出、か!前言撤回しよう、すまなかった。しかし、それを言うのに5時間かかるのは絶対長いと思うぜ? 「ちょっと思いついたかも…うん、今日はサンキューな」 こうして、小さな突破口を見出した俺は、心地よい風に吹かれながら帰路についた。だけど…俺は、本当に実行できるのか? [*前へ][次へ#] [戻る] |