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緑龍は赤い鈴を鳴らす
シリアスになると何でこんな暗くなるのかね!!面白くないでしょ
俺は銀時達と別れ、山田濃左衛門が待っている店に入る。

吉原だ……。

雲井は吉原が苦手だった。

理由は雲井がまだ京に居た頃、友人に誘われ行ったのだが、

女達は雲井にべたべたとくっつき酒を無理矢理呑ませてきたのだ。

龍「はぁ……酒には強いから良いが…仕方ないな」

俺は吉原の店に入る。

山田濃左衛門が待っている部屋へと向かった。

襖の前で俺は正座をし名を上げた。

龍「米三輪藩の雲井龍男だ。上杉餅旨様の変わりに参りました」

?「やっと来たかい…入りたまえ」

龍「失礼します」

俺はゆっくりと襖を開き中に入り襖を閉めた。

俺は目を見開いた。

宗を斬った山田濃左衛門ではなかった……。

誰だ…こいつは誰何だ。

俺は頭の中をぐるぐると記憶をかき巡らせた。

一番驚いたのは…山田濃左衛門の隣。

高杉とお葭が居たのだ。

高杉「テメェが米三輪藩の雲井龍男か…クク」

龍「あ……あぁ」

演技か?

濃左衛門「俺の名は四代目、山田濃左衛門良照だ。こいつは俺の後を継ぐ娘の山田濃左衛門飛縁魔だ」

俺はお葭の顔を見る。

お葭は凛々しかった……。

お葭「山田濃左衛門の飛縁魔と申します。宜しくお願い致します」

高杉「俺は鬼兵隊の高杉晋助だ。宜しくな」何これェエエエエ!!二人して演劇部やってたのかァア!?

俺は顔を引き攣りながらも無理矢理笑顔になった。

良照「良く来たぞ。下級藩士でありながらも裏では貴様は結構有名人だぞ」

龍「は……はぁ」

良照「さぁ…呑んだ!!呑んだ!!あははは!!」

存外、悪い人には見えないが……。

お葭「私がお酌しますよ」

龍「ありがとな…」

お葭はにこにことお酌をする。

とぼとぼとお酒が注がれる音が俺の耳元に少しだけ響く。俺は酒をちょびちょびと呑みながら酔っ払いの良照の話しを聞いた。

良照「我輩は役立たずな三代目と…ヒクッ!!六代目をこの手で斬ってやったよ!!ヒクッ!!」

斬った……だと?

良照「何が肉親だ!!ヒクッ!!んなもいらないんだよ!!ただ、煩いだけの親と兄弟じゃないか!!我輩を誰だと思ってんだ!!四代目の人斬り濃左衛門だぞ!!」

お葭「………………」

お葭は悲しそうな顔をする…高杉の方は相変わらず冷淡な奴でちょびちょびと酒を呑んでいた。

良照「何だっけなぁ…吉田松陽って言ったかなぁ」

雲井と高杉は吉田松陽の名が出た瞬間、反射的に体がピクリと動いた。

良照「まぁ…五代目の奴が何やら吉田松陽を中々斬らなくてなぁ…俺が斬ってやった!そしたら五代目の奴は大泣き!あははは!!あんなド田舎で寺小屋開いて子供に教えていたただの馬鹿に泣いた五代目に余は呆れた!!」

俺は膝の上に乗せている拳がふるふると怒りで震えた。

良照「何が吉田松陽だ!!一々、牢屋の向こうで敵の奴等をお仕事ご苦労様とか言っていたな!!吉田松陽って本当に馬鹿以下か?わはははは!!」

お葭「そ…そうですね…」

お葭は良照にお酒を注いだ。

良照はそれをグイッと一気呑みをしまたべらべらと喋る。

良照「吉田松陽の頭を斬った時は本当に笑い物だったぞ!!微笑んで死んだからな!!五代目はそれに惹かれたのだろう。我輩は自分の死を覚悟して死ぬ奴が嫌い何だよ!!」

ふざけんな………。

良照「余は命乞いする奴が好き何だよ!!泣き叫んで我輩の足に縋り付く奴が好き何だよ!!だのに…吉田松陽とやらは命乞いもしないし我輩の足に縋り付き泣き叫ぶ事さえしなった!!何が攘夷志士だ!何が武士だ!!下ら……!?」

チャッ………。

龍・高杉「それ以上、松陽先生を侮辱したら…ブッ殺すぞ……」

雲井と高杉は刀を抜き良照の首筋のギリギリまでに刃を向けた…。お葭「濃左衛門様!!」

お葭は俺に刀を向けた。

高杉「本当に哀れな女だ……」

高杉はお葭を見てせせら笑う。

お葭はギロリと高杉を睨んだ。

お葭「貴方達にも大切な師が居たのならば分かるはずです!!私にとっても濃左衛門様も大切な師なんです!」

憎しみというものは怖いものだ。

俺達がこの濃左衛門の良照を殺せば間違いなくお葭は俺達に復讐しょうとするはずだ。

過ちが繰り返すだけだと頭の隅では思っていたが、この男が松陽先生を殺したと思うと、どうしょうもなかった。

と、その瞬間。

襖が思いっ切り開かれた。

男「濃左衛門様!!」

大勢の幕府の人間が一斉に刀を抜き、構える。

濃左衛門はその隙に立ち上がり窓の方へ向かった。

さっきまでは年寄りの男だったのに何やら濃左衛門は脱ぎ捨て、若い男が出て来たのだ……。

ル○ンか!!と突っ込みをしてみたかったがシリアスのシーンには余りこういう事は控えようと俺は考えた。

青年は不適な笑みを浮かばせニヤリと笑う。

良照「予想通り吉田松陽の弟子なんやなあんたら…」

青年はニヤニヤしながら高らかに笑う。

龍「何が面白い!!!!」

良照「吉田松陽の名を口にし侮辱した途端これや!!ほんまに面白いなぁ…特に雲井はん」

俺は鋭い眼差しで良照を睨んだ。

良照「そう睨むなって…わてをほんまに殺したいんなら追い掛けて来い…出来るならね」

良照は窓から飛び降り、屋根の上へと走って逃げた。

高杉「チッ……こいつ等片付けたら追い掛けるぞ」

龍「あぁ…」

お葭は俺の目の前に立ちはだかる。

お葭「通しません!!私が相手です!!」

お葭は悲しそうな顔で俺に刀を突き付ける。

龍「お葭……お前……」

お葭「何を信じたら…いいのか分かりません…だけど…私は貴方より師(せんせい)を信じます!!」

俺は少し俯き、顔を上げ、構えた。

龍「そうか……なら手加減はせぬぞ」

お葭「はい!!」

雲井とお葭は畳みを蹴り上げ全力疾走で突っ込んだ。

龍「はぁあああああああああ!!!!」

お葭「やぁあああああああああ!!!!」

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あきゅろす。
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