緑龍は赤い鈴を鳴らす
緑龍の斬首刑
薩摩「テメー等ふざけんなよ!!こいつがどうなってもいいのか!!」
元盟友が息軒先生の首筋に刀を向ける。
皆は慌てて刀を振るわなくなった。
桂「卑怯者!!それでもお前は武士か!!」
桂は怒りを露わにし甘藷藩の一人に怒鳴り散らした。
甘藷「何とでも言え!!武士何かクソだ!!世の中金何だよ金!!」
こいつ…幕府の奴等から金貰って動いてるのか……。
甘藷「龍男!テメーがさっさと捕まってくれりゃ高井息軒が殺されねーのによォ」
甘藷は雲井の悔しがる顔が可笑しくて嘲笑うかの様に見下した。
龍男は刀を仕舞い高井息軒を人質に取っている甘藷藩の盟友に近付く。
そして……。
龍「分かった…分かったから息軒先生を離せ…」
口を噛み締め盟友の傍まで近付き息軒先生に優しく微笑んだ。
甘藷「あははは!!……お前の大切な大切な同志達に特別に遺言言わしてやるよ…」
甘藷藩の盟友は狂った様に笑う。
それはまるで、魔羅の様だった。
雲井は銀時達に振り返り儚気に笑った。
龍「今までありがとな……だが……」
儚気に笑った顔は消え、雲井の紫色の瞳に映る物は死という恐怖は無かった。
龍「俺は今まで国の為だと思って色々と倒幕をしていた…それを果たし、最期まで国の為に動き死ぬのが武士だと一番だと思ったが…俺はそんな武士にはならねぇ!!なりたくもねぇ!!俺は目の前にいる奴等を守りたい!!今、此処にいる奴等を!!国の為に動くんじゃない!自分の意志で動く!!」
俺はフッと笑い銀時の方へ見遣る。
銀時も俺の気持ちが分かったのかフッと優しく笑う。
俺はキリッと盟友を睨み付けゆっくりと口を開く。
龍「連れてけ…」
盟友はお前は馬鹿か?と目で俺を疑った。
そして俺は甘藷藩と共に幕府の奴等が待っている城へと向かった。
銀時「絶対に助けてやる!松陽先生と同じ二の舞にはしねェ!」
桂「あぁ…」
高杉「チッ…仕方あるめー」
稔丸「高杉が人助けだなんて珍しい…まぁ高杉は龍男が必要だもんね…何て冗談はこれぐらいにして…絶対に助けような…」
稔丸(いくら冷酷でニヒルな高杉でもやっぱり雲井は大切な同志何だね)
稔丸はニヤニヤと高杉を見ていた。
高杉はそれに気付いたのか不機嫌な顔になる。
高杉「んだよォ…」
稔丸「何でもないよ」
稔丸(銀時はやっぱり嫌いなんだね高杉は……)高井「私が弱いから……龍男が…」
高井息軒はぐったりと体を崩した…それはまるで銀時が昔、自分の無力さに絶望した姿だった。
過去を重ね合わすと松陽が雲井で高井息軒は銀時の様だ。
一つ間違えれば過去の銀時と同じ事になってしまう。
だが、銀時はもう昔の自分とは向き合った。
ほんの少しだけ自分の無力さを憎んでいた銀時だったがそれも時間と共にその辛さは和らいだ。
そう……神楽と新八…それから銀時が住んでいる歌舞伎町のみんなが居たから立ち直れたのだ。
銀時は穏やかに静かに微笑み高井息軒に近付く。
銀時「大丈夫だ息軒先生…絶対にアイツを助けてやる!ぜってぇに死なせねー。だから自分を責めるんじゃねー」
高井息軒は銀時の顔を見た後、小さく頷き少し落ち着いた。
新八「銀さん」
新八は真面目な顔をして銀時の名を呼ぶ。
銀時は普通だったら面倒臭そうに返事をするが今は真面目に新八の話しを聞いた。
新八「神楽ちゃんと一緒に息軒先生を見てますから銀さん達は龍男さんを助けて下さい!」
神楽「そうあるヨ!銀ちゃんの大切な仲間なら私達の大切な仲間でもあるし家族ネ!!」
神楽は大きな口でニヒッと笑うが神楽は鬼兵隊を見てそいつ等とは家族違うネと加えた。
銀時「ガキのくせによォ…チッ…行ってくるぜ」
新八「気をつけて下さいよ!!」
神楽「ヅラも途中で髪の毛取られない様に気をつけるあるヨ!!」
桂「だからヅラじゃないって言ってるだろ!!」
高井「高杉さん…稔丸さん」
高杉と稔丸は高井息軒に呼ばれ振り返る。
高井「気をつけて下さいね…絶対に死なないで下さい」
高杉は少しだけ目を見開いたが目を細めフッと笑みを浮かばせた。
高杉「幕府を壊すまでは俺ァ死なねェ…心配ありがとさん…クク」
稔丸「本当に高杉は素直じゃないんだから…しょ…じゃなくて息軒先生ありがとうございます」
銀時、桂、高杉、稔丸……。
肩を並べてゆっくりと雲井が居る幕府の城へと向かった。幕府「あははは!皆のもの!!見よ!!罪悪人、雲井龍男だ!!」
雲井は手首を縛られ膝を付いて下を向いていた。
沖田「あいつ…旦那と一緒に居た奴じゃねーですかィ」
沖田があいつと言い出したので土方は罪人の姿を見て目を見開き驚いた。
土方「雲井じゃねーか…何であそこに…」
後ろから大きな大男がやって来た。
大男の名は真撰組の局長の近藤勲だった。
近藤は悲しそうな顔をしながらも淡々と話した。
近藤「あそこにいる奴は甘藷藩の裏切り者らしい。まぁ攘夷志士だしな〜」
土方(攘夷志士だと!?万事屋と同じか!?)
近藤は土方が焦っていたのが分かったのか慌てて言葉を付け加えた。
近藤「攘夷志士つっても俺達真撰組とは仲良しさんさんだから気にするな。米三輪藩の下級藩士だしな」
沖田は何か引っ掛かる事があったのか幕府の奴等を鋭い視線で睨み付けながら疑った。
沖田「あいつそんな悪ィ奴には見えやせんでしたよ?土方さんに塩をぶっかけた時直ぐに謝ってやしたし…」
土方「そうだよな……」
近藤「人は見た目じゃないんだよ…」
土方・沖田「ゴリラが何カッコ付けてんでだァ(さァ)」
近藤は涙目でうるうると土方達を見た。
近藤「酷いィイイ!!おじさん泣いちゃうからね!!」
幕府「何か言い残す事はあるか?」相変わらず雲井は俯いたままだったが…。
龍「俺は死なない…ぜってぇにな!!俺はどんなに身体がバラバラに引き裂かれても川の様に時代と共に流れ永遠に侍という魂は生きるのだ!!」
幕府「何が侍魂だ……斬れ濃左衛門(こいさえもん)」
一人の男が駆け付けた。
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