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「***、リヴァイとはなかなか上手くいってるようだね」
リヴァイは掃除をし終わった後、会議だとかで部屋から出ていき、入れ替わりでハンジが部屋に留まった。
「そうだね、タメ口もだいぶ慣れてきたかな。でも最初はかなりどきまぎ状態だったよ。彼、口悪いし威圧感あるし。今もたまに怖いけど」
「あははっ、まあ粗暴だからねー」
「でも何だかんだ優しい気がする……彼のこと忘れちゃったのにお見舞い来てくれるし、こうして掃除までしてくれるし」
「リヴァイはちょっと不器用だから」
そう言って、でもさっきはビックリしたなー、とハンジは続ける。
「まさか***がリヴァイを飲みに誘うとは思わなかったよ」
「え、なんで?」
「だって、***って少し人見知りな所あるしさ、しかも遠慮しいじゃないか。今誘ったら忙しいかなーとか考えちゃうタイプだよね」
確かに、私の基本性格はハンジの言う通りだった。
初対面の人に人見知りするし、知り合いだとしても忙しそうな相手にはなかなかこっちから誘えず、躊躇ってしまう。
考えすぎだと言われたり自分でも自覚しているけど、意に反していつの間にか考えすぎてしまうのだ。
「リヴァイには遠慮なんて全くしてなかったみたいだから、思わず誘っちゃったんだけど…」
そう、その前提があったから、いつもの遠慮しいが表に出ずに誘えた。
ハンジは私の言葉を聞くと、驚いたような顔をした。
「え、それ誰から聞いたの?」
「リヴァイ本人だよ」
何故そんなことを聞くのか不思議に思いながらハンジの問いかけに答えると、彼女は、へえ! と感嘆を示し、そしてニヤニヤし始めた。
私は知っている。
この顔、何か企んでる時の顔だ。
「え、なに、もしかして違った!?」
「いやいやそんなことないよ。リヴァイの言う通りだって」
「いやいやいや、ハンジのその顔、絶対何かあるでしょ!」
「ひどいなあ、元々こういう顔なのに」
ハンジは眉尻を下げ、悲しんでいるかのような顔をしているけど、口角の上がった口元は全く悲しんでない。
「えー、もしかして遠慮すべきだったかな。そういえば彼、多忙だよね」
「ほらまたそれ! 考えすぎだって。リヴァイだって迷惑そうにしてなかったでしょう?」
「まあ……そうだけども」
「迷惑だったら、リヴァイの場合絶対露骨に出すって」
「確かに」
確かに、彼ならはっきり態度に出す気がする。
「リヴァイに遠慮しなくていいって言われたなら、しなくていいと思うよ。むしろしたら不機嫌になるんじゃないかな」
「……そうだね」
彼が初めてお見舞いに来てくれた時のことを思い出した。
敬語や兵長呼びした時のあの態度。
するなと言われたことをしたら、大変なことになるに違いない。
「いやー、しかし楽しみだなあ飲み会。早く良くなってね」
結局ハンジのニヤニヤの理由は教えてもらえず、上手く言いくるめられたような気がする。
でも飲み会を想像してか頬が緩んでいる彼女を見て、まあいいか、と思ってしまった。
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