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春はやっぱり昼寝
凍てつく寒さの冬が過ぎ、暖かい日差しが屯所を包んでいた。
大半の隊士が巡回に出かけ、屯所はいつもに比べ、落ち着いていた。
(こんな日は縁側で昼寝をするのが一番でさぁ。)
絶好の昼寝ポイントを探し、歩いていると前に煙をなびかせながら土方が歩いてきた。
「おっ、土方さんじゃないですか。どっか出かけるんですかい?」
「今から新しい女中の面接だ。応接室は使えねぇって他の奴等に伝えといてくれ。」
「へー。面接ねぇ。オレには関係なさそうでさぁ。」
と言いながらも、悪巧みが思い浮かび、自然と軽く口元が緩んでしまう。
こういうところは、まだ未熟だ。
「……絶対来るんじゃねーぞ。」
「わかってますって。んで、それは書類ですかい?ちょっくら見せていただきますぜぃ。」
(・・・・こいつは!!)
「土方さん…………こいつも女中志望ですかぃ?」
「おぉ。そいつも……って!総悟!!!!何処行くんだ!」
気が付けば廊下を走り出していた。
「書類返しやがれ!!!」
土方が後ろで怒鳴っているが、今はそれどころじゃない。
(これが本物だったらすごいことになりまさぁ。)
「総悟!!!!」
「面接には間に合うように返しやすよおぉぉぉ。」
「なんだ?総悟のやつ。」
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