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short story
愛し合う前に殺してあげる(土方十四郎夢)


「副長さんよ///かっこいい〜」

「沖田様もいいけど、土方様も素敵!!」

「あっ!!こっち見た!!!」



まただ。




事務仕事続きでやっと屯所を出られたと思ったらまたこれだ。


10歩歩くまでにどれだけの黄色い声が聞こえたことか。




少なくとも俺の気分は最悪だ。



イライラする気持ちを抑えながら煙草に火を付ける。



そんな時だった。






「土方様!!好きです!!!」




顔を上げるとそこには若い娘がいた。


可愛い分類に入るんだろうが、はっきり言って、







「女には興味ねぇんだ。悪いな。」


固まる娘の横を通り過ぎる。
そして、背後から


「何よ!!声かけてあげたのに!!」
と、罵声を浴びせられる。



声をかけてほしいなんて頼んだ覚えはねぇとは思うが、こんな捨て台詞には慣れてしまった。


そんなことに慣れてしまった自分が虚しい。


俺の気分は最悪を超えていた。



そして、それに追い討ちをかけるように


「あの、真選組の副長さんですよね?」



ブチッ



もう我慢の限界だ。





「俺が真選組鬼の副長、土方十四郎だぁ!!!
それがどーしたぁぁぁ!!!!」










自分でも街中で大声を出して情けなかったと自覚してる。








だが、振り向いた途端



「死んでください。」




は、ねーんじゃねぇか?!!










「はぁぁぁ?!!!!何言ってんだ、お前!!」



見れば番傘を持った肌が白い若い娘だった。
一瞬万事屋のチャイナ娘を思い出させるが、にこやかに俺を見る目はあのチャイナ娘と違って狂気に満ちた目をしている。




「死んでください。」


「二度言わなくてもわかるわっ!!

どういう意味かって聞いてんだ。」


「永眠してほしいっていう意味です。」


間髪入れずに即答する色白チャイナ娘。
にこやかに笑ってるが、目は本気だ。殺気がビシビシと伝わってくる。




「死んでほしいって言うけどな、攘夷志士にだったらわかる。だが、天人には恨まれる覚えはねぇ。」


ふと、かたぎの奴等にも恨まれてるか。と頭を過ったが、総悟のせいにして振り払った。



「何の恨みがある。」


色白チャイナ娘を睨み付ける。
殺気をぶつけたつもりだった。







だが、奴は微笑んでいた。


不覚にもその笑みを美しいと感じてしまっている自分がいた。




そして………




「恨みなんてないよ。
ただ、
















大好きなだけ。」












大好き だから
さぁ、んでちょうだい



















(私、好きな人を作らない主義なの。)


(弱味になっちゃうでしょ?)








夜兎なヒロインです。
最近、name change使ってないな……





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