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short story
光に憧れた闇 (日番谷夢)



気付けば真っ暗なところに
一人立っていた
走っても壁に辿り着けない


出口がない......

理解するのに時間は
かからなかった


闇への恐怖は感じない
だって私の世界
暗く、黒く、私を映した鏡


恐怖なんて感じないつもり
だったのに....

どうして?
心が乱れる、息が弾む






前をちらつく光
たった一つの小さな光に懸命に手をのばす


「・・・・・り・・・・」

私の光
私を闇から救えるのは
あの人だけ



「・・・・・・り・・・・」

あの人がいるだけで世界が続く
明日へ行ける



「・・・・うい」
あなたがかえた私は
あなたの光になりたかった







「憂!!」


一面の光、そんな中
―――冬獅郎が視界いっぱいに広がる


「隊長室は仮眠室じゃねぇぞ....」

『ふぇ?』

「“ふぇ?”じゃねぇ!!
寝てないでさっさと仕事しろ!!!」

『・・・・あっ、うん』

「たくっ」



そういうと、ふいっと背を向け机の方に
戻ってしまった

(夢....か)

改めて周りを見回す
ゆかに散らばるトランプが
寝る前にひと波乱あったことを
物語っている


「トランプ片付けておけよ」

こういうときだけは
空気が読めるやつ

そんな、いつも通りの会話が
なんだか懐かしい

「いつまでボーッとしてんだ」

冬獅郎が読みかけの書類から
目をあげる

「っちょ、どうした?!」



大丈夫だと思ってた
それなのに....



涙が止まらない



一人の恐怖には馴れたつもりだったけれど



...

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