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オリキャラ小説
こんな思いをするのなら花や草に生まれたかった
2018.1.04 PM3:16:44 音谷 達仁(おとや たつひと)
日本
東京 秋葉原
大脱荘 203号室


やってくれたな侵入者め。
何者なのだ奴らは・・・ヘルロッソ、R−C・Oをいとも簡単に・・・
我輩はおもむろに携帯を取り出す。

ピッ
「もしもし、我輩だ。ああ、わかっている。奴は我輩が食い止める。お前は自分の作業に集中しろ。
事は一刻を争うぞ」
ピッ

どうやらこの戦いを切り抜けれなければ我輩に明日はない。
これがこの世の選択か・・・全く愚民どもめ。
我輩が存在する限り、貴様らの好きにはさせん!

このアパートの階段はただ一つ!
103号室の前から201号室まで斜めに伸びている手すりなしの階段だけだ!
我輩のいる203号室は階段から最も遠い!
その距離、およそ15m!

教えてやろう!虚の世界の愚民がいくらあがいても決してかなわない相手がいるということをな!

そろそろやってやる。いいか?我輩は本気を出すと言ったらマジで出すからな?
見せてやろう!
我輩を怒らせたことをヘブンで後悔しやがれ!ハーッハッハッハァー!! 
ゲホッゲホッゴホッ!

あっ! ゲホッ! 器官に入った! エホッ!
ちょっ・・・待って・・・ゲホッ!

ウェッ オゥファwww

・・・・・・・・・・・水水。いや違う違うホーリーボトル。
ふぅ・・どうやら奴らの手はここまで入り込んでいたようだな。
さすがに危ないところだった・・・ だが残念だったな。 我輩は生きている。
詰めが甘かったようで何よりだ。

改めて・・・
覚悟しろ!お前らの寿命はマッハだ!

我輩は立ち上がり、布団の周りに落ちていた制御ボタンの一つを蹴り上げて取ろうとした!
・・・が取り損ねて落としたので普通に拾った!

これでお前たちもおしまいだァ!
もう後ろから刺されても文句言えないレベルだよなァ・・・常考。
デステニィアグラント!! 起動!!

我輩は思いっきりスイッチを押した。
さあ、逝け!我輩の英知の結晶その2171!

甲高いモーター音とトリプルエンジンの騒音が鳴り響いた。
さあクリアルで見物だ。どんな勝負になるか見ものだな。ククク・・・

アパートの前の道路が開き、辺りに蒸気が立ち込めた。
そして現れる巨大な重戦士型機械人形・・・
円卓の騎士の鎧に身を包み、振りかざす巨大斧!
こいつを出すに至ったことは今までにない。
しかし、アップグレードは万全だ!打ち砕け!侵入者どもを粉砕しろ!

まあ巨大っつっても大体3m位なんだがな。
聞いて驚け約300寸に匹敵する大きさでもあるのだ!
・・・某機動戦士や汎用人型決戦兵器を作ってもよかったが・・・
さすがに置き場がないから・・・
先に言っておく。作ろうと思えば作るのは簡単だ。我輩には金も時間も技術もある。

ただ、場所がないのだ。秋葉原の一等地に住んでいると土地事情でも苦労するのだよ。
庶民にはわからんだろうがな。

メガネの女は突然の出来事に目を見開いて驚いているようだ。
ゆっくりと階段を上がっていたスーツの男はデステニィアグラントを見て歩みを止めた。
組んだ両腕を階段の手すりに置き、見物でもするように身を乗り出している。

デステニィアグラントは激しく蒸気を吹き出し、斧を振り回した。
メガネの女はとっさにしゃがみ込んでかわしたようだ。
斧は彼女の頭上をかすめ、誰かの家の屋根に直撃した。

・・・別に誰の家でもいいがな。誰が住んでるかも知らないし。

メガネの女は後ずさり、デステニィアグラントと少しでも距離を置こうとしているようだ。
クリアルを落としてこない所を見ると策が切れたか、はたまたそんな余裕はないのか。

デステニィアグラントは再び攻撃しようと斧を振り上げた。
その途端メガネの女は手を振りかざした!
またこの現象か。デステニィアグラントの右腕が凍ってしまったようだ。

両手で持っていた斧を片手で持たぜるを得なくなり、デステニィアグラントは困惑しているように見える。

ヘルロッソの件といい・・・間違いない。
あの女、氷を操ることができるようだ。何をどうしたらあんなことができるのかは不明だが・・・
よくある突然変異か何かか?いや・・・よくはないか。

だが、そんな程度では・・・

デステニィアグラントは閉じていた右腕を思いっきり開き、氷を内側から粉砕したようだ。
さすがここ一番の怪力はさすがと言ったところか。

悔しそうな顔を浮かべている彼女に対して、デステニィアグラントは
人差し指を左右に振り、挑発ポーズをしている。

メガネの女は両腕を交差させた。そしてゆっくりと開いた。その手には透明に輝く弓矢が握られていた。
我輩の推測が正しければ氷の弓矢だろう。

すぐに構えに入り、デステニィアグラントが斧を持ち直す暇もなく矢を放った。
重装備で動きが遅いデステニィアグラントは避けることはおろか、防ぐこともままならなかったようだ。

デステニィアグラントはのけぞり、手に持っていた斧で誰かの家の塀を叩き壊した。

ここまでとは・・・非力に見えるあの女・・・
デステニィアグラントにダメージを与えられるとは・・・
わかっている。この程度計算の内だ。
アップデートしたデステニィアグラントの実践データを取るには十分すぎる相手となるだろう。

デステニィアグラントは矢を食らったことで激高したのか、
右腕に持った斧を地面に引きずりながらメガネの女に突進していった。
地震がここまで伝わってくる。

それを見たメガネの女は構え、再び矢を放ったが
ブチ切れたデステニィアグラントにそんなものは通用しない。
腕の一振りで弾かれてしまった。

さあ・・・どう出る!?

デステニィアグラントは助走を付けたその勢いで、
下から上へと斧をメガネの女に向けて振り上げた!
普通の人間なら消し飛んでいるところだろうな。
だが、メガネの女は間一髪のところで塀を蹴って三角飛びの要領で飛び上がり、
体を捻りながら氷の槍を投げやがった!

デステニィアグラントは左手で槍を防ごうとしたが
あのバカ完全に隙を突かれた。

槍は甲冑のど真ん中にクリティカルヒットした。
デステニィアグラントは吹き飛び、道路の真ん中にあおむけにひっくり返ることとなった。

一瞬の出来事だった。我輩が開いた口をふさぐのとメガネの女が地面に着地するのはほぼ同時だった。

デステニィアグラントは斧を杖代わりに使い、巨体を起こそうと必死になっている。
メガネの女は後手に回るつもりのようだ。
倒れたデステニィアグラントに対して追撃をしようとはしなかった。

体を起こしたデステニィアグラントはゆっくりとメガネの女に歩み寄っていく。
学習機能により力だけで立ち向かっては勝機がないということを学習したようだな。

メガネの女はちょうど祈るように目をつぶって両手を合わせている。
今度は何をしようというのだ?

我輩がホーリ−ボトルを飲もうと、モニターから目を離した時だった。
視界の端っこでメガネの女が両手を開いたのが見えた。

突如、地面に無数のツララが生え、デステニィアグラントに向かって
串刺しにしようと迫っていったのだ。
デステニィアグラントはそれを見るなり、斧を地面を滑らせるように投げた。

斧はツララを砕きながら低空飛行し、デステニィアグラントもその斧を追って走り出した。

それを見たメガネの女は両手を前に出し、四角い氷の壁を作り出した。
真っ白い氷の破片を作り、斧は壁へと突き刺さった。

デステニィアグラントは壁に刺さった斧を踏み台にして天へと飛び上がり、そのまま
急降下して飛び蹴りを放った。

メガネの女はバク転で華麗に蹴りをかわす。
! 見えたっ!

だがスカートの中を保存しておくのは未来ちゃんに怒られたくないから後にしておくか。
そういえば今バク転する瞬間にメガネの女の口元にかすかに笑みが浮かんだのは気のせいだろうか。

・・・ん?ちょっと待て。
よく考えるとスーツの男は何をしているんだ?

・・・微動だにしていない。
ずっと階段から見物していたというのか・・・
フハハハフッハ。我輩を舐めるのも大概にしてほしいものだな。

そこまでするならば次の自走式を見せてやろう。
あ。
アレ?
どこだ?どこいった?おかしいな・・・
あ。オゥフwwww そういえば万能リモコンと間違えて手に取ってしまってどこかに投げてしまった記憶を脳内検索結果は繰り出したw

こうなってしまってはこの薄暗く散らかった室内では見つけられんw
致し方あるまい。かくなる上は・・・

「未来ちゃーん」

未来ちゃんが暗がりの中からやってきた。

「ありゃりゃ?ついに私を呼ぶような事態になったんですかぁ!?」

未来ちゃんはきょとんとした顔で言ったが、そーいうわけではない。
期待している感情が顔ににじみ出ている。

うーむ・・・こんな顔した未来ちゃんにこんなことは言いにくい・・・
だが致し方あるまい。

「その・・・moonの起動スイッチを探してきてほしいのだ・・・」

「えっ・・・?」

未来ちゃんが涙目になって口を尖がらせる。

「わわわわわわわわわ 待て待て待て待て待て!
泣くな!やめろ!このmoonが敗れたらもはやこのアパートを守る者はいない!
そうなったら、もう・・・ホラ。な? な?」

「だって未来はいっつもただ達仁様のお世話するばっかりで・・・本当に役にたってるんですかぁ・・・?」

イスに座ってる我輩に対し、おでこがぶつかりそうな距離で言ってくる。

「役に立ってる!ガチ役に立ってるから!
だからとりあえず今はmoonのスイッチを・・・」

「絶対ですよぅ?約束ですよぅ?」

「ああ約束する!約束するからmoonのスイッチを・・・」

「絶対ですよぅ?」

「ああ絶対だ!だからmoonのスイッチを・・・」

「・・・moonのスイッチならそこにあるじゃないですかぁ」

未来ちゃんは机の隅にある手のひらサイズの長方形のリモコンを指差した。

「え?これはジェットストリーム(加湿器)のスイッチじゃないの?」

「ジェットストリーム(加湿器)のスイッチは枕の横に落ちてるヤツですよぅ」

な、なんだそうだったのか。
今まで目の前にあったのかwwwww
気づかなかったwwwwww 
何せ作ったら作ったでほったらかしにしているようなものも当然あるわけでw

よしそんじゃ、moonを起動するか。
よしポチッと・・・

「約束しましたからね!」

「ヴッ・・・」

変な声が出た。まごうことなき変な声だ。奇声だ。

「わかったから!だが、moonがやられればの話だからな!
moonとデスティニアグラントが奴らを叩きのめしたらこの話は無しだぞ!」

「むぅ〜・・・わかりましたぁ・・・」

未来ちゃんはそれだけ言ってまた薄暗がりの中に引っ込んでいった。

さて、では改めて・・・ポチッとな。

moonが格納されているのは201号室だ。
あ。言い忘れていたがこのアパートに住んでいるのは我輩だけだwww

もともと空アパートだったこの場所を我輩が好き勝手に改造したのだwww
駅も近ければコンビニも近く、立地条件は割といいぞwww
まあ我輩部屋から出ないけどな。

強度補正もばっちりだ。例え真下で大地震が起ころうと、核爆弾が直撃しようとこのアパートが崩壊することはない。

さて、甲高いmoonの音が聞こえてきたぞ・・・
ずっと聞いているの耳がおかしくなりそうな音だなまったく。
クリアルを覗いてみるとスーツの男はこの怪音に気が付いたのか、真後ろにある201号室のドアに向き直った。
何やら真剣な表情だ。

ドアを切り刻み、moonが勢いよく飛び出した。
スーツの男は咄嗟に階段の手すりを滑り降り、途中で地面へと飛び降りた。


空中からmoonはスーツの男を見下ろしている。
半透明な姿をしたメタリックな人間の姿に無数の小さな刃が取り囲むように、高速で動き回っている。
これがmoonだ。相手を切り刻み、串刺しにし、粉々にしてしまう。
我輩1番の・・・ゲフンゲフン。2番目か3番目くらいの自信作だな。ウン。

スーツの男はレイピアを取り出し、moonへと向けた。
どうやらやる気になったようだ。
まあ凡人がどんなに頑張ってみてもmoonには勝てんだろうがなwww

隣では、氷でできた巨人とデスティニアグラントが真っ向から殴り合っている。
さすがのデスティニアグラントも一筋縄ではいかないようだ。

・・・そういえば、凡人などと言ってしまったがあの男も何か能力があるのではないのか?

そういえば、R−C・Oはこいつがやったのかはわからんが、
ヘルロッソの時もデスティニアグラントの時もこの男は率先して戦おうとはしなかったな・・・
つまりは、この男が主導権を握っているわけか。
・・・とはいっても2人しかいないわけだがな。

まあいい、moonを相手にすればその能力を使わざるをえんだろう。
いきなりだが、リミッター解除!

ハイポチッと。

我輩はmoonのリミット解除ボタンを押した。
その瞬間、moonは光り輝き周囲を舞う無数の刃に加え、
右腕が鋭利で細長い剣の形状に変化した!

しかし突然の事態でもスーツの男は身じろぎ一つしない。
落ち着いてレイピアの先端をmoonへと向けている。

moonは右腕を振りかざし、空中からスーツの男へと突撃していった。
男は大きくジャンプし、moonの背後へと回り込んだ。

地面に着地したmoon。高速で舞う刃で地面はえぐれ、
アスファルトの下の土がむき出しとなっている。

背後を取ってはいるものの、すぐに反撃に移らないあたりさすがといったところだな。
まだ相手が何を持っているかわからないのにうかつにしかけるのは危険と判断したのか?

その間にmoonは上空へと浮かび上がり、
体を覆う刃を一斉にスーツの男に向けて放った。
スーツの男は直撃を避けようと全力で走りだす。

逃がさないとばかりに、彼の後方から降り注ぐ刃。
少しでも歩を止めたらめった刺しになるのはは免れんだろうな。おーこわ

このままではズタズタになるのは時間の問題だろうと思ったその時だった。
スーツの男はアパートの階段の手すりを踏み台にし、飛び上がった。

・・・がまだmoonのいる高さには全く足りない。
しかし、2階のの手すり、屋根とリズミカルに飛んでゆく。

そして空中で後方回転してして電柱の頂点を踏みつけ、moonへと飛びかかった!
奴は元体操選手かなんかか?

それよりも・・・刃がなくなるタイミングを見計らったか!
マズイ!

・・・なーんて。moonはそこまでバカではない。
地上から巨大なドリル状に集合した刃が既に迫っているのだ。

空中では自由も利くまい!貫け!
ふむ・・・未来ちゃんには悪いがこれで終わりだな。

その時だった。
我輩はは今奴の能力をををほんのちょっぴりだが体験した…
いや…体験したというよりはまったく理解を超えていたのだが……

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!

moonのドリルが上に向かっていたと思ったら
いつの間にか下へと高速で落ちて行った・・・

な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
我輩も何をやったのかわからなかった…

ただ、わかったのは突如あの男の顔?のあたりから強烈な光が発され、
我輩はうおっ!まぶしっ!!っとなったわけだ。

で、我輩の視界が正常に戻った時、
その前にあったのはちょうどスラッシュの記号のように体を切られ、落下して地面にたたきつけられるmoonだった・・・

さらに、その奥にはmoonのドリル状の刃が思いっきり頭に突き刺さり、煙を発して動かなくなっているデスティニアグラント・・・

どうしてこうなった・・・
どうしてこうなった!?

どうしてこうなった!
どうしてこうなった!

どうしてこうなった♪
どうしてこうなった♪

ってそんなことをやっている場合ではない!!!!
最早、この場所に居を構えて3年になる。
その中で作り出した戦闘用の兵器の3つのうち最強の2つをいとも簡単に・・・

最早我輩に残されている道はただ一つ・・・

「未来ちゃん、未来ちゃん・・・」

「はいはーい☆ お呼びですかー☆」

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「もしかして私を呼んだということは〜?」

「そのもしかしてだ・・・・」

「わっかりましたぁ! 初めてですよ♪wkwkしますね!」

「油断するな・・・奴らは我輩の想像をはるかに超えた戦闘力を持っているようだ・・・!」

「はい!この未来が命に代えても、達仁様のことをお守りいたします!!」

「命に代えてもではダメだ!必ず…この場に帰ってこい。いいな?」

「りょ〜かいです☆」

「良い答えだ。・・・未来ちゃんに、敬礼!」(ビシッ

「敬礼!」(ビシッ

「では行ってきます☆」

本当は行かせたくなかった。もう戻ってこないような気がしたからだ・・・
しかし、彼女を作った本来の目的を忘れてはいけない。

この我輩が作った最強の自走式ロボット。
MIKU☆Zをな・・・





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