今二人が歩いている場所は住宅街。


人通りの少ない道なようで、周りに人は見当たらなかった。



「ねぇ空。」

「んー?」

「またデートしようね!」



…今日のコレは、リカの中ではデートだったらしい。

あぁでも確かに。

傍からみればデートをしている恋人に見えるかもしれない。

しかし、リカに恋心を抱いていないソラはどう返事をすれば良いのか分からず、微妙な顔をするしかなかった。



「梨華ね…、空が好き。」



ソラは足を止めた。

急な告白に驚きリカを見ると、真剣な表情でコチラを見ていた。



「梨華と、付き合って下さい。」



リカは続けて言った。


けれどソラの応えはもう決まっている。



「ごめん。」

「……何で?」

「梨華の事は、クラスメート…友達としか見れない。」

「…そっか、」



ソラの応えにリカは俯く。



「好きな人とかいるの?」

「えっ……」



好きな人、は居る。

けど相手は男だ。

居ると言える訳がない。



「やっぱり居るんだ。」

「いない。」

「嘘だよ。本当は居るんでしょ?だから梨華じゃダメなんだよね?」

「本当に居ないって。」



まだ俯きながら話すリカ。

声が震えていて、泣くのを耐えているのだと思った。



そんなリカに、ソラの心が傷む。

好きではないのだから仕方がない事だ。

気持ちは嬉しいがどうしても無理だった。


ソラには想い人が居る。



「本当ごめん…。」





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