○
たった一瞬の出来事。
それは今思い出しても、甘く切ない瞬間だった。
一方的なモノだったのに、まるでお互いが想い合っているかのようなキス。
ソラは自分に都合良く錯覚し、舞い上がりたい気分に陥ってしまった。
─気持ち悪かったよな‥
どうしよう…。
それでも現実は違う。
ソラはミツに嫌われる事を考えるだけで気が落ち込んだ。
少し話せるだけで良かったのだ。
席替えをする前にミツと話してみたかった。
一体ミツはどんな子なのか…。
ソラはただ、知りたかった。
話題なんていくらでもある。
何が好きで、いつもどんな本を読んでいるのか。
聞きたい事、喋りたい事が沢山あって…
今は少しずつミツを知るキッカケを作るだけで良かったんだ。
それなのに念願が叶った喜びと、溢れ出す欲をさらけ出してしまった。
─次に会った時一体どんな顔をして、どんな風に接したら良いのか…ー
休み明けの事を思うだけで、頭が痛くなるソラだった。
←→
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!