笑う君から4



暫くそうやって考え込んでいると、前方から同じ制服を着た生徒……同じクラスの生徒達が歩いてきた事に気が付く。


けれどクラスメートたちは僕になんて目もくれない。

その事実にホッとしたような…でも少し虚しいような感情が渦巻く。

まるで僕がここに存在していないかのように思えてしまうから。






─僕に存在価値なんてないんだっ…。


こうして悲観的に考えてばかりの自分も嫌で嫌で…。

何だか無性に泣きたくなった。








「……っ…!」



僕は大袈裟なほど息を呑む。



僕なんかに目を向ける人は居ないって思っていたのに……なのに、その中にいた彼だけは違ったから…。




彼だけ、




沢田空だけは違ったんだ。

すれ違い様に目があって、スッと目を細め微笑んだ。




一瞬の出来事。


でも一瞬だったからこそ印象的で、いつまでも彼が見せた笑顔がまるで切り取ったように頭に残っていた。



今でもずっと、彼の笑顔が頭に浮かぶ。



ずっと、何時まで経っても忘れられない…─。





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あきゅろす。
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